いつわり短編

□仕掛けられた罠
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「ねーちゃん……」
「う…空……さ……ん?」

カビ臭い物置部屋の中、閨はある男に襲われかけていた。

「や……やめてくださいませ……う…空さんはそんな方では……ありませんわ…」

天邪狐空……
長い前髪を上げる為のバンダナは、今はしておらず、薄く開いた瞳からは鋭い眼光が閨を捕らえる。

「……わしも……男やで…」

それだけ言うと、空は閨を押し倒し、組敷いた。

「きゃっ……」

急に体制を崩された為に、視線がぐらつく。だが、目の前を見ると、すぐそばまで空の顔が狭まっていた。

「何……で……」

閨は、ただ涙を流すしか出来なかった。


普段男としての欲求を外に出さない彼が、何故こんなことになってしまったのか。

原因は……
今から半刻前まで遡る所にある。
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