D'Gray-man
□妬けるココロ
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そして今に至る訳だが。
「あ……アレン君には……か…関係の無いことだよ……」
リナリーの発言に、アレンの肩がピクリと揺れた。
『ブチッ……』
何かの切れる音。
「へぇ〜……僕には関係の無いことですか……」
「そ……そうだよ…?」
「ふぅ〜ん……」
「あ……アレン君……?」
「何ですか?…リナリー」
アレンから溢れるどす黒いオーラ。
それを感じたリナリーは、思わず身を震わせる。
「………もう一度聞きます……。ラビと……何を話していたんですか…?」
「そ……それは……」
「それは?」
「……その……」
「その?」
「……えーと……」
「…………ラビが知ってて、僕には言えないことなんですか…?」
「……そ……そういう訳じゃ……」
視線をあちらこちらと游がせるリナリーに、アレンはゆっくりと顔を近づける。
…リナリーとアレンの距離…1センチ。
「……そういう訳じゃ無いんですね?……じゃあ教えてください。……じゃないと……身体でオシオキを与えないと……」
ニヤリと悪い笑みを浮かべたアレンは、壁につけていた右手をリナリーの首筋へと滑らせる。
「ひゃっ!……わ…分かったよ…分かったからアレン君!」
すると、首筋を撫でていたアレンは、右手を再度壁へと戻すと、ジッとリナリーを見つめる。
「……じ……実はね……」
「実は…?」
「……その……相談をしてたの…」
「相談?何の相談をですか?」
「……い……言わなきゃ駄目…?」
「もちろん」
「……や………やっぱり言えないっ!!」
顔を真っ赤にして俯いてしまった彼女を、アレンは疑問ばかりを浮かべて見つめ続ける。
「……じゃあ……やっぱりオシオ」
「わーっ!!言う言う言う!!!言うからお仕置きだけはっ……」
どうやっても逃げられないと確信したリナリーは、小さな声で呟いた。
「……んの……日……ゼ……トのことで……」
「え?あの……全く聞こえなかったんですが……」
「だ……だから!!!」
「だから?」
リナリーは『ムゥゥ〜……』と口を結び、顔は今にも火が出そうなほど赤くして、スゥウと息を吸い込むと、大声でアレンに向かって叫んだ。
「「アレン君の誕生日プレゼントのこと!!!」」
ハァハァ…と息を荒くし、目には涙を溜めて、ムスッと拗ねた顔をすると、横に顔を向けてしまった。
「……僕の……誕生日プレゼント……ですか…?」
「……そうだよ……。男の子が欲しいものって分からなかったから……」
「ラビに相談を…?」
コクりと小さく首を縦に振ると、そのまま顔を下に下げたまま動かなくなった。
「……そうだったんですか…」
「…え…それだけなの!?何かもっと驚くとか……あ……謝るとか……」
チラッとアレンの様子を窺うべく、顔を少し上げようとすると、ぼすっと柔らかい感触に包まれた。
「……あ……あ……アレン君!!?」
どきどきどきどき……
急な展開に、飛び出てしまいそうなほど、心臓が早く動く。
だが、それを知ってか知らずか、彼が自分を抱き締める腕は強くなる一方。
「………プレゼント……ありがとうございます……」
「……え……まだあげてないよ…?……と言うより、アレン君の誕生日は来週……」
「いや、このありがとうはラビに言ってるんですよ?」
「え…?」
お互いの顔が見えるほどだけ身体を離されると、リナリーの目の前には嬉しそうな……いや、悪趣味な笑みを浮かべたアレンがいた。
「……こんなにも可愛いリナリーをくれたんですから!」
「へっ?」
「いやぁ〜、よく分かってるなぁ〜ラビは」
「え?ちょ……」
「僕が一番欲しいものをくれるなんて……」
もはや訳がわからない。
いつの間に、ラビからのプレゼントが私になったのか。
「あの……アレンくん…?」
「………あー、もう我慢の限界です!」
人の話など、全く聞いておらず、アレンは言葉と同時に私を床に押し倒した。
「えっ!?ちょ……アレンくん!?」
「ずーっと我慢してたんですから。リナリーがラビと話してる時なんか、もーヤバかった!!僕……独占欲強いんです……あ……だから僕は……欲求不満なんです、今!!」
「………は?」
ペラペラと一人言を喋るアレンについていけず、リナリーは押し倒されたままポカンとその様子を見つめていた。
「………ま、とりあえず……」
「とりあえず…?」
何故か、物凄く身の危険を感じる。
「……いただきます…」
その後、アレンとリナリーは一日行方不明になり、朝方部屋から出てきたとか……
ーENDー