ソウルイーター

□END
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神様は言った。


「あなたたちに残された時間は……あと……」


崩壊に満ちた世界は……


儚き人間をも崩壊へと導く。



―――



世界がバラバラに砕けていく……


空と海が美しく混ざり合わさる。


空を飛ぶ鳥は魚に飲まれ、


生きた人間は私とこいつだけ。


「ねえ……何で私とソウルは生きているの?」


隣にいるソウルはチラリとこちらを見て、眠たそうに瞼を伏せる。


「そんなこと俺に聞くんじゃねーよ。俺だって分からないんだし」
「ごめんごめん。そうだよね…」


あんなにざわついてた世界は、


まるで無音空間の様に、


静かに静かに壊れていく……


「私……幸せだよ…」
「どうしたんだ、急に…」
「あ〜……冷蔵庫にプリン残したままだ……」
「質問に答えろよ……」


溜め息をついてるソウルの声は……


今にも消えてしまいそうで…。


眠たそうにしている瞳がある顔は…


とても穏やかに見える…。


「……あ…もうそろそろかな…」
「ん……俺はもう来てる……」


パラパラと崩れ始める己の身体。


隣のソウルは、右足と右腕が、


もうほとんど消えてしまっている。


「不思議……全く痛くない……」


左足がパズルピースの様に

目の前でほどけていく……。


「……マカ…」


片腕を広げ、

優しく微笑むソウルが私を包む。


「俺……もうすぐ行かなきゃ…」


ソウルの右頬が崩れ始めた……。


……暖かい筈のソウルは、


氷の様に冷たくなっていく……


「……やだ…」
「やだじゃねーよ……」
「だって、私より先にいなくなるなんて……」
「ふはっ……あんま変わんねーだろ」


等々背中に回されていた


左腕の感触が消えた。


「……マカ…」
「……なによ…」
「……好きだよ…………」
「……知ってる…」
「……そっか…」


ソウルの右半分が全て消えた。


「……好きだよ…マカ…」
「…だから知ってるよ……ずっと前から」
「さすが……」


ゆっくりゆっくり進む崩壊…


「……もう…時間だって……」


ソウルの身体……ソウルは…


あと数瞬で世界から消える。



「やだ、一緒に行く」
「…最期の最後までワガママ……」
「うるさい……」
「……ま、それが……マ……カ…だか…ら……」


パラパラ……


パラパラ……


「……好……き………だ……ず…と…」


ほとんど言葉にならない文字を残して、


ソウルは世界の崩壊に飲まれていった。









「……世界が……終わる………」


ぐちゃぐちゃに混ざりあう世界。












「……私も……好きだよ…ソウル…」


最後の一人となった少女は、


最愛の少年を追うように、


数秒の後に世界から姿を消した。




-END-

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