ソウルイーター

□狂気に呑まれた少女
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「お嬢さん…お嬢さん……」


「君の願いは、なぁに?」


そう尋ねられて、私は迷わず答えた。


「………皆の幸せ……」


「あれれ?」

「自分の願いではないのかい?」

「皆の幸せが自分の幸せなの。だから、皆が幸せになれば、私も幸せなんだ」


私が言うと、目の前の道化はクスクスと笑った。


「………そんなの……」

「嘘だってバレバレだよ、お嬢さん」

「嘘じゃない。本当に願ってることだもん……」


もし……

仮に違う願いがあったとしたら……

叶わない願いだと思う……


「……では…質問を変えようか…」

「……今、君が一番求めているものは何だい?」

「求めているもの……?」


道化はコクりと頷くと、外見をある『人』の姿に変えた。


「君が求めているものに姿を変えてみたよ……」

「君が求めているのは……」

「きっとこの『人』じゃないのかい?」


あぁ……

私の最愛の人……


「ソウル……?」

「そうだよ……君が大好きだったソウルさ……」


……白い髪と深紅の瞳。

あぁ……間違いない……

私の最愛の人……ソウルだ……


「……どうだい?」



「君が今、一番求めているソウルの姿は……」


ソウルの姿をした道化が優しく微笑むと、ソウルの腹から真っ赤な鮮血が吹き出した。


「真っ赤な血に染まっているんだよ…?」

「きゃっ……」


クスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクス……


「……君の求めるソウルは死んでしまったよ…?」

「君の手によってね……」

「私の手…?」


自分の手を見てみる。


「ほら……」

「君の手はソウルの血で染まっているじゃない……」

「血?」


ボタボタ……

こぼれ落ちる赤。


「……ねえ、マカ」

「どうして俺を殺したの…?」

「ソウル……私っ……覚えてなくてっ……」


クスッ……


少年の姿をした道化は、空笑いをした。


「まぁ……もう遅いから良いか……」


「いやっ……ソウルッ……」


ソウルは片腕を魔鎌に化けて、目の前で立ちすくす少女に振りかざした。


「じゃあね、マカ」


『ザシュッ………』


『ドサッ……』


狂気に呑まれた少女は、

狂気に殺される。


「大好きだったよ……マカ……」




-END-

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