ソウルイーター

□白いクリスマス
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「はい、マカ。今年もプレゼントだ」


ありがとう、ソウル!


そう言って、頬をピンク色に染める君は何処へ行った?

「ねえマカ。今日も雪が沢山降っているよ」

埃の積もった窓の外は、小さな白い粒が上から下へ、上から下へという動きを幾回も繰り返している。

「ねえマカ。今日はクリスマスだよ?」

真っ白で、氷の様に冷たい君。
…そう…まるで、雪の様な君。

「ねえマカ。どうして返事をしてくれないの?」

あのクリクリとした大きな翡翠の瞳を見なくなって、もうどれくらいの時が進んだのだろうか。





「……真っ赤なお鼻のートナカイさんはー」

ソウルは、クリスマスに唱われる名曲を口ずさんだ。

「いつーも皆のー」
「笑いもーのー……」

気のせいだろうか…。
今、己の歌の繋ぎを、目の前で眠っている彼女が唄った気がした。




「………マカ…?」
「……………」

やはり気のせいなのだろう。
だって、彼女からの返答はない。



彼女が眠り続けて、もう30年以上が経とうとしているのだ。
今になって目覚める……。
そんなことは、もう何度だって夢見た。
だから分かる。

彼女が目覚める可能性は、限りなく0に近いということを。

「ジングルベール…ジングルベール…鈴がー鳴るー」

あの時の己の弱さが、彼女を今に陥れた。

狂気に呑まれた自分。
その犠牲になってしまった彼女。



「ねえマカ。今日は何が食べたい?」

今夜は特別に豪華なものを食べよう。

「マカの好きなクリームシチューにしようか。ホワイトクリスマスに兼ねてさ」

そうだ……。
クリームシチューを見て、喜ぶ君の笑顔を想像して。


「メリークリスマス、マカ」





-END-

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