いつわり長編
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「ネヤっ…死なないでっ…」
タンタン…
長い長い石階段を次々に登る。
…少年はあの暗い牢から抜け出し、小走りで自分の部屋へと向かっていた。
背中に担いだ少女は未だに返事がなく、意識も戻っていない。
「はぁっ…はぁっ……………?!こ、れは…」
長い階段を登り終えて、視界に広がった景色に少年は唖然とした。
…あんなに沢山いた使い達は、何故かそこら中に転がり…赤い液体にまみれていた。
そこから更に視線を遠くに移せば、数人しか残っていない使い達が次々に身体から紅を吹き出して床に倒れていっている。
そして、最後の使いが床に倒れたその時…
「出てこいツバメ!!」
血のついた長剣を空中に向け、誰かの名前を叫ぶ少年が倒れた使い達の中心にいた。
「出てこいよツバメ!俺は死んでねぇぞ!!」
なんの話だか知らないが、ここはとにかくスルーして自分の部屋へ向かわねばならない。
少年は益々身体が冷えていくネヤの足を持つ腕にギュッと力を込めて、その場を駆け出した。
しかし…
「なぁ〜んだ。やっぱり生きてたんだ」
「っ…!?」
突然ぐらりと少年の身体が傾く。
「結構狙った筈だったんだけど……まぁ、なんとなくわかってたよ、死んでないってね」
少年の背後に、死んだ使い達の中心にいる少年とそっくりな声が響く。
…何時の間にか少年は、現れた声の主の腕によって首が締められた状態になっていた。
「は、なせ!…」
「えー……あれ、この子……」
一瞬だけ首が自由になる……と同時に、背中にあった重みも消えた。
「この子ネヤ?ちゃんだっけ?なんでここにいんの?」
「っ…、やめろ!!ネヤに触るな!!返せ!」
片手で少女の首根っこを掴み上げ、片腕は少年の首に回したまま声の主は怪訝な顔をする。
「だってさ、この子地下牢で女王様に殺される筈でしょ?しかも、連れてきたの俺だし……。なんで使いのお前が罪人を連れてここにいんだよ」
「そ、それは……」
少年が言葉に詰まり、しどろもどろする。
…すると、少年に気が逸れていたのを狙ったのか、使い達の中心にいた少年がこちらに向かって小刀を投げて来た。
「ぅお!?あっぶね!!」
真っ直ぐに自分の所へ飛んで来た小刀をかわすために、少年の首を締めていた声の主は勢いよく後ろに飛んだ。
「ネヤっ!!」
動けるようになった少年は瞬時に腕を伸ばし、床に倒れそうになったネヤを抱きとめ、そのままそこを走り去った。
「あーあ、お前のせーで逃げちゃったじゃん」
「黙れ」
小刀を投げた少年は一時鞘におさめた長剣を再度抜くと、数十歩先にいる少年にそれを向けた。
「あの日の約束……それを叶える為に俺はここに来た」
「ふん……今更叶えようなんて…、お前も変わってねぇな」
ニヤリと笑う少年と少年。
……顔、姿、全てが瓜二つの少年と少年。
「お前こそ、あの日から全く変わらないな……ツバメ」
「お前にゃ、言われたくねえ……俺を置いて逃げた弱虫ツクモ」
「っ…!!そんなことはどうでもいい!!……行くぞツバメ!!」
「ハッ………さぁ……来いよ、弱虫ツクモちゃんよぉ!!!」
…互いに向かって走り出した少年と少年は、高い金属音と共に赤い鮮血をそこらじゅうにばら撒いた。
おぉぅ…
もはやアリスじゃねーよこれ…汗
ぐろいよ、バカ、しね!
と思った方、まさしく私はそれを否定できません…爆笑←
ほんと、なんかぐろい越えてすいません…
次話から色々と灰色だった部分を白くしていこうと思うので、宜しくお願いします。