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□Web拍手G
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※ヒロイン名前固定。




【周防尊ver.】






「ん…」




目覚めれば、隣には暖かい体温。
まだ重い頭で隣を見れば、珍しく同じ布団で眠る香織。
あぁ…そういやぁ、昨日はこいつ夜遅くなって泊まりだったか、とぼんやりと思い出して、腕枕してる逆の手で髪を撫でた。

俺とは違う真っ黒な艶のある髪が、するりと指先を流れる。
なんとなく、この感覚が好きだった。




「香織…」




さっき見た、夢の内容を思い出す。
夢の中の俺は、香織を抱きしめていて…制御できない自身の力で、香織ごと自分を焼いていた。

けれど、何故か傷つかない自分の体。
なだめるように、優しい手で俺を抱きしめ返す香織は、その髪も、足も、腕も…段々と消えてゆく。

灰すら残らない俺の業火の中で、香織は最後まで笑っていた。
大丈夫だ、と…まるで十束のように根拠のない言葉と微笑みを残して、香織は俺の腕の中で跡形もなく消えた。


決してこないとは言えない未来の地獄絵図に、何度別れようと思ったか。


それでも、こいつは絶対に俺から離れようとしない。
どんだけ遠ざけても、雑に扱っても、すべてわかっているという微笑みでこいつは俺を受け止める。

自分の力の暴走に怯える中で、香織は俺を普通の人間と同じように接してきた。
無償の信頼で根拠のない“大丈夫”を振りかざし、なんの躊躇いもなく俺に触れてくる。


人の気も知らず自分勝手で、そのくせ俺の不安ごとすべてを包み込む異様な存在。

いつの間にか、俺はこいつに依存していた。




「馬鹿が。お前がいつまでもくっついてくるから、手放せなくなっちまった」




無防備に眠る香織の額にキスを落として、華奢な体を抱き寄せた。

こいつ、こんなに細かったか?



お前が根拠のない“大丈夫”を振りかざし続ける限り、俺はお前の期待に応えてやる。

だから──…








俺と生きてくれ


(…ごめんね、尊)
((本当は不安で仕方なかった。いつも笑って受け止めていたけれど、あなたがいなくなってしまう未来にいつも怯えて、食事すら喉を通らない日も多くなった))
(ねぇ、尊…自分勝手だけど、期待ばかり押し付けるけど、どうかお願い。…何があっても、あなたは生きていて)



 
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