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□Web拍手H
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*セリフのみ・名前確定。



【黒子と図書委員少女】





『…ねぇ、君』
「はい?僕ですか…?」
『君以外誰がいるの?』
「えっと…すみません。こんなにあっさりと誰かに気づいてもらえたの、初めてで…」
『…どういうこと?』
「僕、影が薄いみたいで…誰かの隣に立っても、声をかけるまで気づいてもらえないんです」
『え?でも君…いつもここに座っている人でしょう?』
「!どうしてそれを…?」
『だって私、図書委員で放課後はいつもここにいるから…君がこの机で本読んでること、前から知ってたよ?』
「そうだったんですか…」
『うん。…あ、そうだ。もうそろそろ図書館閉めないといけないから、いいかな?』
「もうそんな時間ですか。すみません、長居してしまって」
『謝らなくていいよ。図書館はもともとそういう場所だもの。…それ、借りてく?』
「いえ。これは以前借りたので、大丈夫です」
『借りたのに、また読んでるの?』
「はい。このシリーズ、全部読んだんですけど…この回の話が一番好きなので、また読みたくなっちゃいました」
『あ、その気持ちわかるなぁ。それ、ロイドが恋人のリリスを危険に巻き込まないように、自分から離れていく話だったよね?』
「キミも読んだんですか?」
『うん。私もそのシリーズ好きなの。気に入って自分で本買っちゃった』
「嬉しいです。この本、シリーズが長いので友人もなかなか手を出してくれなくて。一緒に話せる人がいなかったんです」
『私もだよ。君が読んでるの見たとき、ちょっとテンション上がっちゃった。…そうだ。このシリーズね、まだ図書館には置いてないけど、新しいのが出たの。良かったら貸そうか?』
「いいんですか?」
『うん。その代わり…読んだら感想、教えてほしいな』
「もちろんです。ありがとうございます」
『じゃあ、明日持ってくるね。…そろそろ出ようか?』
「あ、そうですね。…あの」
『ん?』
「名前、聞いてもいいですか?」
『…雨宮恵。君は?』
「黒子テツヤです」
『黒子君ね、わかった』
「雨宮さん。もう外暗いですから、送っていきます」
『大丈夫だよ。いつもこんな感じだし』
「いえ、送らせてください。…もう少し、雨宮さんとも話していたいですし」
『…それなら、お言葉に甘えようかな?』
「はい。では、行きましょうか」
『よろしくお願いします。黒子君』





(恵さん?…どうかしましたか?)
(テツ君。ちょっとね、テツ君と初めて話したときのこと、思い出してたの)
(あぁ…図書館で話したときの。そういえば、どうしてあのとき…恵さんには気づかれたんでしょうか?)
(気づかれたって…)
(だってあの頃の僕は…恵さんを見るために、図書館に通ってましたから)
(…へ?)
(まぁ恵さんに夢中で閉館時間を過ぎたおかげで、今こうしていられるんですけど…)
(あ、え…?あの、テツ君?)
(はい)
(それって、どういう意味かな?)

(つまり、僕は恵さんと話す前から…キミに夢中だったってことです)


 
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