前世と現世〜2つの記憶〜

□No.2
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教室には数人の生徒がいたが、それぞれ読書をしたり部活の準備をしたりしていた。


晋弥と愛華も席に着いて教科書などを引き出しにしまう。


晋弥の席は窓側の列の一番後ろの席で、愛華の席は真ん中の列の後ろから二番目の席だ。


片付けが終わると、愛華は晋弥のところに来た。




『じゃあ私、花壇の水やりにいってくるね。』


「うん。いってらっしゃい。」




愛華の水やりは今日に始まった事ではない。

本来ならしなくてもいいのだが、花が好きな彼女は自ら進んで花の世話をしに行くのだ。

晋弥はというと、彼は教室を出て外の体育館裏へ向かった。




「また君たち?」




体育館裏には男子生徒が数人いて、彼らを見るなり晋弥はそう呟く。




「よう咲護。この前の借り、返させてもらうぜ。」




リーダーらしき生徒が晋弥に向かって言った。




「はぁ…君たちみたいな弱い奴って同じような事しか言わないよね。」




呆れたようにため息をつきながら晋弥が言った。


彼らは以前、町中で晋弥に喧嘩を仕掛けてきた生徒で、そのときは晋弥に返り討ちにされたのだ。
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