TUBASAdream
□No.4 蓮姫
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――ドサッ
人のたくさんいる場所の、お店の屋台の上に一行は落ちてきた。
崩れたお店の中から出てきた小狼は、キョロキョロと辺りを見渡した。
すると、目の前に見えたのはレンガに囲まれた大きな城だった。
「ああ―?次はどこだ?」
「わ―なんだか見られてるみたい―」
『こんな状況じゃ、当たり前でしょう』
「てへvモコナ、注目のまと―!」
「また妙な所に落としやがって!」
小狼の周りには黒鋼、ファイ、さくら、サヤがいて、全員怪我は無いようだった。
すると、人集りの中の、一番強面の男が「どこから出て来やがった!!」と目の前のさくらの腕を強く引っ張った。
―ガッ!!!
「お」
「あ」
「わv」
彼女の腕を引っ張った男は、小狼とサヤの跳び蹴りを、顔面に受けた。
その光景に、黒鋼、ファイ、モコナは、楽しそうな声をあげる。
吹っ飛ばされた男をみた周りの人間が、武器らしきものを構えた。
「やめろ!!
誰かれ構わずちょっかい出すな!このバカ息子!!」
「春香!!」
男たちを止めたのは、屋根の上からこちらを見下ろす女の子だった。
先程吹き飛ばされた男と、彼女―春香ーチュニャンーはいくつか言葉を交わし、彼は帰っていった。
「怪我は?」
「大丈夫です。
―ありがとう」
さくらに怪我がないとわかり、小狼は安心したように笑顔を見せ、サヤも微笑んだ。
「や―なんか到着早々、派手だったね―」
「小狼とサヤ、すごい―!」
モコナは言いながら、先程の跳び蹴りの真似をする。
その後、散らかってしまったお店の売り物を皆で拾った。
その時にさくらが小狼を見ていることを、サヤは見逃さなかった。
小狼は春香という少女を見る。
目があった瞬間、彼女はズバッと言った。
「ヘンな格好」
「あははははは―ヘンだって――
黒りんの格好――!!」
「俺がヘンならおまえらもヘンだろ!」
焦る小狼をよそに、何かを閃いたらしい春香は、物凄く眠そうにしているさくらの手を引いて走っていった。
「あ!待って下さい!」
「なんか忙しいねぇ。
おじさん、ごめんね―」
「あ―っ、めんどくせ――!」
連れて行かれたさくらを追いかけて、彼らはその場を後にした。
とても広い屋敷の一室に、小狼とさくらは春香と向かい合っていた。