光の対価

□配達7【歓迎】
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速達ということで、食事などは配達先で済ませるとジギーさんに聞いた私は、ハチノスを出てすぐに出発した。

彼の“鉄の馬”を初めて見た私はすっかり興味を奪われ、ジギーさんもアスターに興味を持ったらしい。

元々、彼は他の人達のように壁を作らず、アカツキから来たと知っていてもゴーシュのように普通に接してくれた為、私も幾分か話しやすかった。

とはいえ二人共あまり口数が多くないのでポツリ、ポツリと話ながら進んでいた時のこと。




「…ソニアも、あんな風に笑うんだな」




アスターに乗る私の隣を鉄の馬で走りながら、ジギーさんが唐突に言った。

私は何のことかわからず、『あんな風?』と問い返してみる。




「ハチノスで、ゴーシュ・スエードと話していた時のだ」


『え!?私、笑ってましたか?』


「…気づいて、なかったのか?」




驚いたような、意外そうな瞳をゴーグル越しに見て、それが本当なんだとわかる。

無意識に笑っていたなんて…変にニヤけて笑ってたらどうしよう!!

なんて筋違いなことを考える私の隣でジギーさんが複雑そうな顔をしていることに、私は気づかなかった。




『それで、“あんな風”ってどういう意味ですか?』


「…君は、普段から無表情で敬語だと聞いていた」


『…つまり、イメージが崩れたってことですか?』


「……良い意味で、な」


『?…それって―、!』




彼の言う意味を問おうとした瞬間、
ラズベリー・ヒルの町まであと少しだというのに、地響きが鳴る。




―キィイイィィイー!!!



「!…グレン・キース…」




地中から現れたのは、長い体に幾つもの足を持つ鎧虫、グレン・キースだった。

相手を確認し、私はジギーさんが心弾銃を取り出す前に動く。弱点である最先端の中央のスキマまでは、アスターが翔んでくれた。




『心弾装槇!撃ち出す弾丸は“ココロ”の欠片…――響け、碧舞!!』



―キィィイィンン…!!




銃を二丁出すまでもない。

片手に心弾銃を構え、グレン・キースのスキマに向かって放つと、それは呆気なく崩れた。




「…まさに一瞬、だな」


『ご迷惑でした?』


「まさか。…礼を言う」


『どういたしまして』




その後、何事もなかったように先へ進み、無事ラズベリー・ヒルの町で配達を果たした。
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