光の対価

□配達 1【アカツキの少女】
1ページ/2ページ







―なぁ、おい!今日“あの”アカツキからBEEが配属されるらしいぜ!!―




―まじかよ!?まさか、ヘッド・ビー!?―




―いや、どうも違うらしい。何でも、アカツキで生まれ育ったって話だ―




―は?じゃあ何でわざわざ“こっち”に出てくんだよ!?―




―さあな。上の奴の考えることなんて知らねぇよ――…





















「どこもかしこも、アカツキから配属されるBEEの話題でいっぱいね…」


「そうですね…けど、誰が来ようと僕は配達を続けるだけです」




ユウサリ地方――郵便館BEE-HIVE(通称ハチノス)。

そこは、AG(アンバーグラウンド)国家公務郵便配達員“BEE”(通称テガミバチ)達が集まる拠点。


広い建物の中、あちこちで立ち話をする研究者達やBEE達の噂話を耳にし、同職のBEE、アリア・リンクは隣を歩く幼馴染みであり同業者の、ゴーシュ・スエードに話しかけた。


二人は今、このハチノスの話題を独占する例の“アカツキから配属されるBEE”を館の入り口に迎えに行くところである。

いつも通り自分のペースを乱さない幼馴染みに、アリアは小さくため息を吐く。




「どうかしましたか?」


「え?」


「表情が堅いようなので」




気にしてないようでいてきちんと周りを見ている彼に、彼女はぎこちなく微笑んだ。




「そりゃ、表情も堅くなるわよ。相手は政府要人や上流階級の人間が暮らす首都、アカツキから来たのよ?」




ここAGでは、夜が明けない。

そのため、人工太陽が空に浮かんでおり、その太陽に一番近い場所が首都、アカツキだ。
彼女の言う通り、“選ばれた者のみ”が暮らすことの出来る場所。

そんな場所から来る人間に、BEEとはいえ地位的には一般市民の自分がどう接すればいいのか。


そんな苦悩がありありと見てとれる彼女の表情に、ゴーシュは笑って落ち着かせるように言った。




「大丈夫ですよ。いくら上流階級だからって、同じ人間ですから」


「慰めにもならないわ」




はぁ、と肩を落とすアリアだが、入り口はすぐ目の前に迫っていた。

ゴーシュは一度彼女に視線を送り、深呼吸をしたアリアが頷くと扉を開く。


その先に待っていたのは、タイミングよく馬車から降りてくる、二人より少し幼いBEEの制服に身を包んだ少女だった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ