光の対価
□配達6【速達郵便配達員】
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「ソニア!」
ジギーさんと廊下を少し進んだところで、聞き馴染んだ声に名前を呼ばれた。
『!ゴーシュ…』
珍しい…仕事熱心な彼がまだ館内にいるなんて。
そう思いながらも、安心できる友達に会えたことに内心喜びと安堵のため息を漏らす。
そうして自然に微笑みを浮かべた私に、隣にいたジギーさんが驚いていたことにも気づかなかった。
『珍しいね。どうしたの?』
「いえ、貴女が心配になったものですから…。こんにちは、ジギー・ペッパー」
「ああ」
ゴーシュに返事をするジギーさんの言葉は簡潔だが、これが彼の接し方なんだろう。
そう解釈したとき、ゴーシュの言葉に気になる言葉を見つけた。
『心配?』
「貴女は、いつも無理や無茶をしますから…心配になるんです」
『私は無理も無茶もした覚えないよ。むしろ私よりゴーシュの方が心配だよ』
「僕?」
『シルベットちゃんの為とはいえ、あまり無理は良くないよ。逆に心配かけちゃうから』
「…僕も無理をした覚えはないのですが…善処します」
そう言って微笑んだゴーシュに安心した。私を心配してくれるのは嬉しいけど、もっと自分を労ってほしい。
名残惜しいけれど、隣にいるジギーさんに申し訳なくて、ゴーシュとお別れすることにした。
『じゃあ、そろそろ行くね?』
「ええ…行ってらっしゃい。お気を付けて」
『ゴーシュもね?』
そうして私達は、それぞれの配達に向かうのだった。
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