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□Whatever you say ─仰せのままに─
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その瞬間、驚きと歓喜の気持ちからだろう、全身が痺れるような感覚に陥る。



こんなことがあるのだろうか、と思う。

ジュノ様が僕を?
嬉しくて堪らない。

僕にしては珍しく、感情を上手く抑えることが出来ずに緩む頬を必死に制御する。



「私…でこざいますか?」

首を傾げて、驚きながらも確認の意味で聞くとジュノ様はこくりと少し気恥ずかしそうに頷いた。



「駄目…か?」

恐れや不安の色に染まる瞳を僕に向ける主人に僕は微笑んで首を横に振った。

「いいえ。駄目なんかではありません。とっても嬉しいです」

そう言うと、不安の色で染まっていた瞳が徐々に安心の色へと変わった。



「そうか…良かった」

強ばっていた頬を緩ませて、ジュノ様は安堵のためいきを吐き、照れたように下唇を噛んで顔を赤らめた。

その時、心のどこかで何かが崩れていく音がした。

制御しようにも出来ない心の部分がゆっくりとだけど確実に崩れ、壊れていく。



「私も…愛しています…ジュノ様を…」

そう呟いて、その小さな背中を包み込むとジュノ様はぴくりと体を震わせた。



首をこちらに向けたジュノ様と目が合い、どちらともなく唇を重ね合わせた。



ジュノ様は軽く触れるだけで壊れてしまいそうな人だった。

唇に触れた瞬間、ジュノ様の柔らかな唇が微かに震えているのが分かった。

いつもは堂々としている主人がこんな風になるのがたまらなく愛しかった。



「でも…、まだ分からない…。これが恋なのか…なんなのか…」

目をゆらゆらと泳がせながら主人は言った。

「はい」

「でも、クンといると安心するし…確かに他のやつらとは違うって思う…」

「…」

「もしも、恋だって気づいたときには…俺様の言うことを聞いてくれるか?」

そう不安そうな顔で首を傾げたジュノ様に僕は微笑みながら、勿論ですと言ったが、内心、それまで理性が持つなんて到底思えなかった。



「あまり待たせないで下さいね」

そうジュノ様の髪を撫でると、ジュノ様は珍しく素直に頷き、「あぁ、出来るだけ早く…な」と言った。



そのまま、ジュノ様はベッドへ横たわり、目を閉じた。



「クン…、」
主人は眠りにつく前に、いつものように僕の名前をよんだ。
僕もいつものようにはい、と頷いてベッドへ横たわり、ジュノ様の細いからだを抱き締めて布団に潜り込んだ。



子供のころから一人では眠る事の出来ないのだというジュノ様。

ここ半年ほど旅行中の自由なジュノ様のお兄様の代わりに僕がジュノ様が寝るまで隣に居続ける。



「おやすみなさい…」

あと少しでお兄様が戻ってこられる。
その時までで僕がこうしてジュノ様の隣に寝ることは無くなってしまうのだろうか。

もしジュノ様が僕への好意に気づいてくださるのなら、きっと僕はこのまま、隣にいられるのに。

ジュノ様が起きられたその瞬間から眠りにつくその時まで、ずっとずっとジュノ様の側にいられるのに。


















To be continue…
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