青の部屋

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ある日の任務中…



2人は、路地を歩いていた。
「今回の任務なんだっけ?」
「え〜…、もう忘れたの?A区のC倉庫にナベリウスが出たから退治しに行くんだよ。」
「え〜っ!ナベリウスかよ…。面倒くせっ」
木葉は『チッ…』と舌打ちしてブツクサ言っていた。
「あんた、フェレス卿の話聞いてたの?」
「え?寝てた。」
「はぁ…。」
鼻をほじる木葉を見て大きくため息をついた揚羽は呆れたらしく、何も言わなかった。



なんやかんやで、A区C倉庫前。



「ここ?」
「みたいだね…。」
気づけばもう空は暗い。
「不気味だな〜…。」
「さ、行くか。」
「はいはい。」
揚羽は躊躇せず倉庫の重々しい扉を『ガララララ…』と開けた。
「「…………。」」
ガシャンッ
素早く扉を閉めた。
「「…………。」」
大量のナベリウスを目の前に硬直の2人。
「お、おおお、多っ!!!多いですよ揚羽さんっっっ!!!」
「…………。」
ガタタタタ…
「ひぃっ!」
ナベリウスが外に出ようと扉を押しているらしい。
「おおお、お、落ち着けっ!一回深呼吸しようかっ!ひっひっふぅ〜…」
「お前が一番落ち着けっ!!!赤ちゃん産んでどうすんのっ!誰との子よっ!?ママ絶対許しませんからね!」
「そんなっ!この子だけは見逃してっ!て、なんやねん!」
「俺知ってるよ。ノリツッコミっていうんだよね。」
「誰でも知ってるよっ!」
「お前ら何してんだ?」
2人でなんかかんかやり取りしていると横から男にしては少々甲高い声がした。
「え?あの、どちら様で…?」
男性で、背が小さい割りに剣は大きい。
揚羽は服装を見れば祓魔師であると分かった。
「師匠ぉぉぉぉおおおっ!!!」
「よっ!久しぶりだなぁ。」
師匠と呼ばれたその人は手を上げてニカッと笑ってみせる。
「どゅこと?」
「あ。話してなかったっけ?この人、俺の師匠の高旗 重だよ。」
「あんた師匠なんていたの!?」
「うん。それにしても………、相変わらずかわょすなぁ。頭撫でさせてください。」
よだれを垂らしながら頭に手を伸ばす。
「触んなっ!」
ぺチッ
「あいたっ!」
「………キモイ。」
揚羽はそう言うと後ろへ下がった。
「え〜、なんで遠ざかるのさ…。」
そのとき。
がっしょぉぉおおんっ!
「「「!!!?」」」
「ぎゃーっ!ナベリウス大量生産っ!」
「意味わからんっ!」
C倉庫に詰まりに詰まっていたナベリウスが飛び出した。
そして、周りの倉庫からも大量に飛び出してきた。
『グルルル…』と唸りながらこちらへ向かってくる。
「ひぃっ!」
どぉんっ
どぉんっ
どぉんっ
「ちっ…、多すぎる。」
揚羽は有る程度撃ってから言った。
ナベリウスは大体500匹というところ。
「だろうな。」
「ていうか、師匠なんでいるんですか?」
「なんでって……、フェレス卿に手助けに行けって言われたんだよ。」
そう言いながら背中の大きな剣を『シャキ…』と取り出す。
「フェレス卿分かってませんっ!こんなかわいい師匠を危険にさらすなんてっ!」
「ちょっと黙れ。」
「はい。」
「いくぜっ!」
ヒュンッ
「瞬間移動!?」
気づけば師匠は遠くにいた。
数秒後、数十匹のナベリウスが呻きと供に消えていった。
「すごい。一撃でこれほどの敵を倒すなんて…。それでも人手が足りないよ。」
「俺の出番かな?」
「え?」
木葉は魔方陣の描かれた紙を取り出した。
「闇に棲む者全てよ、俺の命令の元に手を貸すが良い。」
シュルッ
魔方陣から5つの影が飛び出した。
「出番のようですね…。」
「ちっ…。」
「タイミング悪ぃよ。」
「なんかお茶のんどるーっ!今お茶ってどゆことーっ」
5匹は『ズズズ…』とお茶を啜っていた。
「お、おいっ!お前それ……悪魔の王じゃねぇかっっっ!そいつら、お前の使い魔なのか!?」
「え?そうですよ?」
「いや、軽っ!」
「とりあえず、あのナベリウス殺っちゃってー」
「了解です。」
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