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□獅子の魂
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「はぁっっっ!!!!!」
地鳴りが闘技場の中を揺さぶり、周囲に投げ出されていた石積が衝撃波によって硝子の如く鋭く切断されていき四方八方に飛び散る。
「ぐはぁっ……!!!…」
全身生傷と血にまみれた飛影が躯の一撃により、一瞬時が止まったかの様に体が宙で屈折し壁にぶち当たり倒れた。
「…今日はここまでだ。」
意識が飛びそうな程重症を負いながらもゼェゼェと息を切らしている飛影に対し、躯は、まるで何事も無かったかの様に静かに立たずんでいる。
蒼く美しい瞳だけが飛影を一点も離さずに、彼の血の様な紅い瞳を追っていた。
「ま、まだだ!!!!…ぐっ………っっ!!」
「…そのセリフは聞き飽きた。」
容赦ない躯の声が響く。
大会までもう残り僅かだ。
ここ最近は飛影が初めて百足に来た時より比べものにならない程過酷な修行を繰り返していた。
(「クソっ…!!!!!またか…まだか…まだ駄目なのかっ…!!!!!」)
(…アイツに勝ちたい、アイツより強くなりたい、誰よりも強く…誰よりも…!!!!!!!)
飛影はその一心で過酷な修行を休む間もなく続けていた。
「…甘い。まだ…。お前の内にある心がな……」
躯は冷静な声で言った。
その瞳はまるで獲物を狙い定める獅子の如く威圧感があった。