NOVEL

□strange land
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― 「お二人にも一度楽しんで来てもらおうかと思いましてね。」―

…そう言って紙切れの様なものを差し出したのは、アイツの誕生日プレゼントに協力した男だった。
そいつの横には例の如く脳天気野郎共二人がニヤリとほくそ笑んで次いで口を揃えて、「躯と楽しんで来いよ!!」などと気味悪い笑いを交えて言ってきやがった。


…アイツらまた何か企んでるのではないだろうな…
などと半信半疑が脳裏によぎりつつも丁度退屈していた頃もあり奴らの勧めに乗ってやってもいいななどとも裏方では思った。


百足に戻るなり、奴らから貰った紙切れを持ち躯のいる部屋へ足を運んだ。

「…ハロウィン??なんだ?そんなもん聞いたことねぇなぁ。」

「奴らがどうしても行けとほざく。…お前と共にな…。」

「ほう。まあ…しかし面白そうだな。どいつも皆変な格好だしな。」
躯は紙切れに映るハロウィンの様子が表れている写真を早速興味を弾かれた様子で眺めていた。
「面白そうだな。俺は賛成だ。行ってみようぜ飛影。」

…やはり…な。

…本当にコイツは人間界のイベントに興味をそそられるのだな。
これではアイツらの手玉にまんまと乗せられたも同然な気分だった。
しかし、そう思う反面本心ではコイツが喜ぶのならばと想う自分がいるのだと確信せざるを得なかった。

「そうと決まったら早速行こうぜ!!」
「お、おい…何も今…」 「なるべく早く見てみたい。お前もだろ?」

最後まで言い切る前に後押しされて直ぐ様行く羽目になってしまった。

蒼く美しい瞳を輝かせながら先を急ごうとする躯を後から追い着こうとする心中、コイツとの新たに生まれる記憶が出来るのだと思うと、まぁ…悪くは無いなと思うものだった。
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