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□FIRST LOVERS
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日もすっかり落ち、辺りは真っ暗になっていた。
自室の扉の向こうから声が聞こえてくる。
「躯様、躯様。只今会議より戻り致しました。緊急の報告もございますので、報告を申し上げ願いたいのですが…。」
と、気持ち良く寝ていたのを奇淋の切羽詰まった声により、二人とも面倒と思いながらも目が覚めてしまった。
「…解った。今行く。」
躯は声を落ち着かせて返答した。
そして奇淋達が待っている扉の向こうへ行こうとしたその時、飛影が急に腕を掴みグイっと自分の方へ抱き寄せた。
「…チュ…………。」
…彼なりにタイミングを計ったのだろう。
唐突に唇と唇が重なる…。
「ふっ…。珍しく隙があったぜ。俺がまだ寝惚けていると思ったのか?(笑)」
「…!!煩い…さっさとお前も支度しやがれ!!」
軽くカチンときた彼女を尻目に彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
(―…もう少しマシなタイミングで来て欲しかったな…。コイツもまだまだ甘いな(笑)―)
飛影が勝ち誇ったような笑みをしている中で躯は内心思った。
(だが…お前らしいな。フフ…)
フフっと笑みを彼女もまた浮かべた。
さっきまで勝ち誇ったような笑みをしていた飛影は急に笑みを浮かべた躯を見て不思議と思い眉をしかめた顔をした。
「さ、行くぜ!!今日の会議サボってたんだから報告位は聴かないとな。」
「…ああ、そうだな…。」
ただ他愛のない会話をお互いしながらも幸せと感じていたのは確かだった。
こんな気持ちは初めてで。
この気持ちを「愛」…そう呼ぶならば…………俺はお前を………………。
そうお互いが心の中で共感しながらも、サボっていた会議の報告を仕方なく聞きに扉の向こうへ進んだ…。
―…お前を…愛してるぜ…―
-END-