愛盾夢
□あの音にわたしは夢を見る
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「ねぇ妖一、寒いわ。手が」
「あ?知るか。手袋買え、手袋」
「お金があったらとっくに買ってるわよ」
「そりゃ残念だったな。もうすぐ着くだろ。我慢してろ」
「無理、凍傷起こして死にそう。・・・だから手を繋ぎましょう」
「凍傷なんかで死ぬかよ馬鹿」
「良いじゃないの、手繋ぐくらい」
「本当しょうがねぇやつ」
冬が寒くって本当によかった。
私の冷えた左手を
彼の右ポケットにお招きされるための
この上ない理由になるから。
どうやら今年の冬は手袋の必要がないみたい。
BUMP OF CHICKEN「スノースマイル」