エクスカイザー
□コウモリと果物
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コウモリは恨んでいた。
四将を心の底から恨んでいた。
「えっ、リンゴ? ガイスターにやられて、リンゴどころか果物一つないよ」
「ウチが欲しいくらいですリンゴ。や、リンゴじゃなくてもいいから、何か果物……」
「売り切れ……じゃなかった。盗られ切れです」
いたるところの果物という果物が既に四将にやられ、何処にもないのである。かといって手ブラで帰るのもプライドが許さず、コウモリは途方に暮れていた。
――畜生。なんでこんな目に……元はと言えばアイツ等がバカなのが悪いんじゃないか。くだらないことで全部台無しにしやがって。いつぞやの夏のお宝もダメにしたばかりだというのに。ダイノガイスト様への忠誠心ってモノがないのかアイツ等は。それに、少し分けてくれたって……
ぐちぐちぐちぐち。
口から文句はいくらでも出てくるが、果物は一向に出てきやしない。やっと見つけたと思ったら、ディスプレイ用の偽物だったりするし。もう散々。
真っ青だった空はいつの間にかオレンジ色になっている。
道を行く人々は今日何度か見掛ける巨大なコウモリに、ガイスターの仲間かもという疑惑を抱きながらも、哀れむような眼差しを向けていた。
かわいそうなかわいそうなコウモリ。
疲れのせいで、どんどん高度が下がっていたが、もうコウモリには認識できなかった。
意識が少しずつ朦朧としてくる。視界もだんだんぼやけてきて――
ヘロヘロヘロ〜〜〜〜〜〜
ボトッ
とうとうコウモリは道端に落ち、動かなくなった。