エクスカイザー
□リンゴ狩り
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「……まぁ、確かにリンゴってなんだか分からねぇよな」
壁に突き刺さったクチバシを引き抜いてプテラが言う。
「リンゴってなんだー?」
自分が先程まで暴れていたことはもう頭にないのか、サンダーがのんきに首をかしげた。
情報ならTVだと、アーマーがモニターを操作する。かちゃかちゃとチャンネルを回していると、偶然テレビにリンゴの文字を見つけた。
『私は今、リンゴの名産地に来ていまーす。今日はリンゴ栽培暦60年の、青森さんの農園からお送りしまーす』
プテラに「アイドルはもっと若い奴だ」と言われたリポーターが、にこやかに話している。隣には70代くらいのおじいさんが立っていた。
『こんにちは青森さん。さっそくですが、今年のリンゴはいかがですか?』
『うむ。このまま順調にいけば、最高のリンゴをお届けできる!』
『それは楽しみですね! 青森さんにとってリンゴとはなんですか?』
『リンゴはワシの人生! ワシの宝じゃ!!』
――次の目標決定。
「あの赤くて丸いヤツがリンゴだな!?」
ホーンが俄然やる気を出した。
「リンゴー。リンゴー。俺取るー」
サンダーも行く気満々だ。
「俺も言ってみようかなぁ」
アーマーもリンゴに興味津々。
プテラは少し考えていた。ダイノガイスト様の命令でもないのにホーンと同じモノを探しに行くのは癪だった。
「取ってきても、てめぇには分けてやらねぇからな。サンダー、アーマー、やるなよ」
「……」
ホーンの宣言にプテラは出撃を決めた。正直リンゴは気になる。しかしホーンのおこぼれにあずかるのは絶対に嫌だ。
こうして四将はリンゴ狩りに出かけた。
もちろん街に。
しかし彼等は知らない。
リンゴがいつ“お届け”されるのかを。
今は、夏。