ドラゴンクエスト11

□贖罪の火
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 一瞬、灼熱を呑まされたと錯覚した。
 口内を蹂躙するホメロスの舌が熱い。
 人の身であった頃はむしろ俺より少し冷たいくらいだったのだが、魔に堕ちた今のホメロスは、触れる箇所全てが熱を帯びている。
 ふと、ホムラの里の伝承を思い出した。
 それによると罪を犯した人間は死後、灼熱地獄という所へ落ちるらしい。そこで罪を裁かれ、地獄の炎によって拷問のような罰を受けた後に、大樹へ還るのだという。
 ……もしそうだとするならば、むしろ地獄へ落ちるのはホメロスの方ではないのか。
 それとも、ホメロスによって俺が罰せられているのか。
「何を考えていた」
 唇を離してホメロスが問う。
「ホムラの里の伝承には灼熱地獄というものがあるそうだ」
 ホメロスの目は疑問を訴えてきた。
「お前の体が熱い」
 それでホメロスは理解したらしかった。うっすらと底冷えするような笑みを浮かべて俺の頬をぞろりと撫でる。
「なれば罪人よ、地獄の業火に焼かれてもがき苦しむがいい」
 ……あぁ、やはり俺が罪人なのか。

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