モジラレツ

□hana・hi・ra
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会いたい、
とは思ってた。

あれからどうしてるか、とも考えてた。
思っても考えても、どうにもならない事も、

解ってた。


自分のこの姿が、疑問だった。
何故こんな事になっているのか、自分で解ればいいのに。
ここに意思はない。


何より不安だったのは。
彼がこの姿を見て、自分と解ってくれるか、だ。



「少し、歩きたいので先に戻ってくれますか?」
偽りの家族への来訪の後馬を引く従者に告げる。
「構いませんが…今日は祭で人が多いですよ?ならば誰か共の者を…」
「大丈夫、すぐ戻る」
心配そうな従者の返事を待たずに歩きだす。いつもより人の出が多い通りに一歩踏み込んでしまえば、自分の姿など判別不可能になる。
とはいえ、本当ならあまり人の目には触れたくないのもあるのだが。


呼ばれたような、気がしたから。


もちろん声なんて聞こえるはずもない。
それでも届いた。

愛しい声が。

後は賭けだ。
その方向へ歩を進める。
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