モジラレツ
□カーテンコール
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<…そして、お姫様と王子様は、いつまでも幸福に暮らしましたとさ…>
童話の終わりはだいたいこんな感じだろう。
二人がどう幸せに暮らしたか、詳細が語られる事はない。その後本当にずっと一緒にいたかなど、真実は誰も解らない。
だからこそ。
人は、思い描く事が出来る。自分だけの、幸福ってものを。
俺なら。
敵じゃなく、ブックマンJr.とかではなく、彼もノアではなく。
普通に出会い、普通に恋におちて、普通に愛し合って…。
今、そんな夢を見てる。
でも普通が…解らない。背景は、時間は、靄がかかったように霞み、ぼやけている。けど。
彼の優しい笑顔だけが、それだけがはっきりと俺の眼に写っている。
そうだ。
これが…俺の望んでいた事だ。
他は何もいらない。アンタが笑ってくれてる、そばにいてくれる。
それが。
俺の望む、終わりだ。