笑って、嗤って、翻す
□子どもっぽい
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あのね、そろそろなんだって。
そうコートリーダーの右端に耳打ちすれば、案の定「は?」という顔をされた。
頭が良くても質問がでたらめだったら答えられないよね。そんなようなものだよね。
だから訂正した。
「あの時期。負け組が帰ってくる時期がくる」
「・・・・・・・・・。なるほどね」
眉が一瞬動いたが、相変わらずポーカーフェイスである。
二番コートもそれなりの実力だが、正直右端以外に強い人はあまり知らない。
なんだろう。右端以外精神的に子どもっぽいから、そう見えるのかな。
・・・なんて言ったら、入江に「キミもでしょ」とか小馬鹿にされるに違いない。だから言わない。
よしっ、学んだぞ私!成長してるぞ私!
「だけど今まで以上の練習をこなす必要があるかと聞かれても、ないと答えるよ」
「・・・なめてるね」
「なめてはいない。・・・チャンスをあげてるんだ」
「そんなんじゃ足元すくわれるよ」
すこしむっとした表情で訴えれば、両頬を片手でつままれた。
ちょ、歪む!
「まあご忠告どうも」
「・・・死ぬなよっ」
「死なない、死なない」
分からないよ。
いや、死なないだろうけどさ。
あんな血まみれでするテニスなんて見たことない。
まあ右端のテニスは危険っぽくないけどね。
なんとなくそんなビックイベント的なことが起こる気がする。
子どもっぽい
(中学生より、私の方がなめられてない・・・?)