笑って、嗤って、翻す

□meaning
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中学生が負け組と勝ち組に別れてから結構経つ。

そろそろ“差”が縮まった頃かな。



どんどん肌寒くなっていく朝。

肌の乾燥を気にしつつもパックなどをする気のない私は黙々と作業に取り組んだ。

何の作業、って、選手のサポートですよ。



「二時間自主練、終わったら10分休憩してからサーキットをこなせ!!」

「「「はいっ!!!」」」

「怪我をした場合はマネージャーのところへ行け!」

「「「はいっ!!」」」



まあ作業っていったって、救急箱の中身を出し入れして数を数えてるだけなんだけどね。

なぜ出し入れかと言うと、ほかにやることがなくて繰り返してるから。



「おいマネージャー」

「っはい」



いつの間にか自主練をしている選手たちを残し、柘植コーチが近くにいた。

近くってほんと近く。見上げないと顔が見えないほどの脇に。



「明日、負け組が帰還する予定だ。
・・・二番の奴らに言っておけ。『練習に励め』とな」

「はい」



びっくりしたあー。

いつまでそれやってんだ、って言われるかと思ったよ。

だけど(柘植さんには珍しく)小声で耳打ちしてきたから、機密事項なのかもしれない。

とりあえず肯定しておいたけど、なぜ二番コート?



私はマネージャであって選手ではない。

だから選手よりはそれなりに合宿のルールや仕組みを教えてもらっている。

だけどコーチでもない。

だからコーチよりは合宿のルールや仕組みを知らない。



そんな中立の立場にいるような私にも『理由』を言わないなら、なにか大きなことするんだろうな。なんて。

私は察しがいいわけじゃないけど、なんとなくそんなビックイベント的なことが起こる気がする。





meaning

(ねえコーチ、その意味はなに?)

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