笑って、嗤って、翻す

□誤解されると困る
1ページ/1ページ

周りの中学生は間隔をあけてくれて、その中に私と桃城くんが入った。


少し息は整ってきたみたいだけど、まだまだ回復できていない。

これは派手にやっつけたなあ。




「こんにちは」




ニッコリ。

笑顔で挨拶すると、「ども」と普通の返事が返ってきた。


桃城武。

青春学園二年生レギュラー。

ダンクスマッシュなどを得意とする、パワープレイヤー。


資料にはそれくらいの情報しか載っていなかった。

だからその程度のレベルなのかと思っていたけど。

・・・・・・なんだスゴイじゃん。




「桃城くん、だよね?」

「そーっす」

「すごいね」

「え・・・何がッスか?」




手が使えないんじゃ、試合はできない。

なのにラリーを続けてボロボロになってしまっている。

彼の腕は、傷だらけだった。

彼の足も、傷だらけだった。

なのに。これだけ頑張ったのに。負けた。

・・・でも。




「全然、格好悪いと思わないよ。
むしろ格好よかった」

「っえ・・・・・・?あの、え?」

「ゴメン、ゴメン」




なにサラッと告白しちゃったんだ私は。

誤解されたら困る。しないとは思うけどね?

とりあえず状況が悪化しないように、この場を去ろう。




「手当ては終わりだよ。じゃあ、またね」




あえて平静を装ってみたりして。






誤解されると困る

(鬼は私のこういうとこ、苦手なんだよね)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ