笑って、嗤って、翻す

□応援する気はなかった
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彼を心配する人、応援する人。

彼―・・・桃城武の仲間は、どうやら高校生をギャフンと言わせたいらしい。

だけどね。そう上手くはいかないんだよ。

だって相手は、鬼だから。


鬼の二つ名は地獄の番人。

5番コートに留まっている彼だけど、実力はもっと上だ。

下位コートの高校生をことごとく蹴落としてきた、言わば『底上げ選手』なのである。




「お前の両手首は――今ので完全にイカれた。・・・勝負アリだ」




見て、いられなかった。


桃城くんの手首は、痙攣を起こしたようにピクピクしていた。

痺れてるのか、ラケットすら握ることができていない。


中学生を応援する気はない。私は高校生だから。

―――でも。




「うおおおおおおおおおっ!!!」

「・・・・・・なんだろうなあ」




あの必死さに?

両手が使えないのに口を使い、あの鬼とラリーをしている。

勝ち目はないのに。無謀なのに。

だけどその試合から、目が話せなかった。




「ゲームセットウォンバイ鬼、6−0!!」




審判の声が無情に響いた。

なんだか悪いことをしているような、居たたまれない思いだった。






応援する気はなかった

(だけど気がついたら・・・)

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