笑って、嗤って、翻す

□いっぱいいればいいのもいる
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「先輩っ…」




私も一旦部屋に戻ろうかなー、と歩き出したときにかかる声。

さっき、私がなんでここに来たのかを聞いた人の声だ。


振り返れば染めたのか地毛なのか、色素の薄い髪が視界を占領した。




「俺、四天宝寺の白石いーます」

「白石……、蔵ノ介くんだね」

「おん…やのうて、はい」




これまた端正な顔立ちですこと。

写真で分かってたけど。


大阪の中学の、四天宝寺の部長さんだよね。

四天宝寺は癖の強い人たちの集まりだ、って資料に書いてあった。

そんな彼らをまとめあげる部長さんなら、かなりの実力者なんだろう。




「中学生がいろいろとすいませんでした」

「え、あ、いや。きみの責任じゃないでしょ?」

「でも同じ中学生として」

「…責任感強いんだね」




手を伸ばして(背伸びをして)頭を軽く撫でると、すっごい驚いた顔をした。

苦笑いだった私までびっくりしたんだけど。




「っ、あの……」

「ああゴメン?」




つい可愛くて、ともらすと「先輩こそ」……って、え?




「、なにって?」

「先輩こそ。背伸びして俺の頭撫でんの。頑張ってる感あってめっちゃ可愛かったっすわ」

「そーれは――……褒めてるーのかな?」

「褒めてますって。口調おかしなってますけど」




どうも腑に落ちない。

小さいのに頑張ってる、と(遠まわしに)言われてる感じがして。

ただの妄想かもしれないけど、多分そうだけど。


でも160近くあるんだよー、身長。

ねっ、女子の平均超してる超してる。

157だっけ、平均は?

中1のときに超しましたから!

……裏を返せば中1以来伸びてませんが。




「一応、ありがとう」

「ははっ、ほな。ありがとうございました」

「うん」




爽やかだなー、ありゃモテるわ。

優しくて?イケメンで?爽やかで?

競争率高そう、なんて私高校生ですから!高みの見物できますが!

…あー高校生にも人気そうだ!






いっぱいいいればいいのもいる

(白石くんはステキ男子ですね)

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