笑って、嗤って、翻す
□悲しかな
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「いや遠慮しますって」
「しないでくださいよ〜」
「します、すみません」
「いや〜手厳しい」
今、誰とどんな会話をしているかと言いますとね。
予想つくかな、この語尾をのばす喋り方。
アラフォー精神コーチ、斎藤さんですよ。
あ、ひとこと余計?すみません。
会話内容は中学生の合宿所案内について。するかどうか。
どうです?します?ってしませんよ、そんなこと。
「どうしてですか?中学生と「親睦を深めるつもりはありません」
「…それはどうして?」
「私はここに、仕事をしに来たんです。遊びに来たんじゃない」
そう言うと斎藤さんは「おや…」と、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。
いつもそんなような顔、してる気がするけど。
「これは…さすがですねえ、うちのマネージャーは」
「ありがとうございます」
「はは・・・でも、これは“指示”なので、断られてもね〜」
「え、」
「お願いしますよ」
白衣を翻してすでに歩き出している、ということは本当に拒否権はないんだろう。
はあ・・・・・・あんまり干渉したくないんだけどなあ。
「指示」と言われれば断るに断れない。
悲しかな
(マネジメントが板につく)