笑って、嗤って、翻す

□注意も注目も不得意
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『面白いことが起きてる』

そう入江の口から聞いて現場に駆けつけたときには、本当に面白いことになっていた。




「ばっかだねえ…」




コートには完全かませ犬になっている佐々木…?がゲラゲラ下品に笑っている。

見ている側としては面白くて仕方ないよね。


でも次の瞬間、佐々木の顔は最高にぶっさいk・・・恐怖に染まった。




「ウケる、佐々木ウケる」

「佐々部じゃなかった?」

「どっちでもいいよ」




それにしても、と徳川が口を挟む。

私は笑いをこらえて彼の言葉を聞いた。




「相手の力量も測れず戦うとは浅はかですね」

「見苦しいぜ!!
もうボールを取れなかった奴等は帰んな!
これ以上醜態曝すなよ!!」




徳川の毒舌にみんなの憧れ・鬼のアニキの一喝がきたとする。

佐々木・・・じゃないや佐々部もさすがに怯み、ふらふらと走り去った。

あーあ見苦しい。




「これは・・・どういうことなの?」




入江に聞けば、佐々部が啖呵を切って中学生に試合を買って出、見事に負けたそうな。


何で試合・・・、ああそういえばボール取れなかったらなんとか、って資料に書いてあったな。

つまりそれで佐々部たちはボールを取れず、中学生がボールを取っていたことに不満を持ったわけね。


馬鹿。本当に馬鹿。

まずボールを取れなかった時点で、あんたらは負けてるのに。




「勝手な試合は厳禁でしょ?」

「そうだね。でも中学生にも非はある」

「だよね、事前に伝えてるはずだもん」

「なら注意してこなきゃね」




ほら、彼らも注目してる。

入江の言葉に「え?」と見渡せば、見たことのある顔が私たちの方に向いていた。

入江に引っ張られてコートの中央まで進むと、視線はさらに突き刺さる。


な、なによ。注目されるのは好きじゃないのに!


あと入江、小声で「ほら」とか言うな。

それは早く注意しろってこと?

あーもう面倒、いいや適当で。




「ここで勝手な試合は厳禁です」




やめて!

え、それだけ?とかいう目やめて!

そして入江、それを声に出すな。






注意も注目も不得意

(誰か代わって・・・)

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