笑って、嗤って、翻す

□男のプライド
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現在ぼーっとしながら食堂の椅子に座ってます。

周りに人はあまりいない。遠巻きに見られてるような気はするけど。

でもそんな(少し可哀想な)私の目の前の椅子を、誰かが引いた。




「おはよう」

「……あっ鬼か…」

「なんだ不満か」




寝ぼけてたから声のトーンとか全く気にせず、「おはよう」だけ聞いたから入江かと思った。

二人の声は似ても似つかないけど、鬼から挨拶とかなんか…………。なんでもない。




「入江かと思ってさ」

「…………」

「なんだ不満か」

「…真似をするな」




鬼は頭を、押しつけるように撫でる。

効果音がつくなら“がしがしっ”。

髪はまだとかしただけで、乱れるとかはないから許してやろう。




「それより、今日は中学生が来るんだろう」

「え、あ、そうだっけ」

「まあいつ帰るかは知らんがな」




この発言からすると、鬼も中学生には期待してないみたいだ。

私はねー・・・うーん、揺らいでるんだなあ。




「どうだろう」




挑発するような口調で言えば、目を見開く鬼。




「・・・どういうことだ?」

「さあ?」

「・・・・・・・・・お前は苦手だ」

「え、なんで?私は鬼すきだよ」

「そういうとことかな」




失礼だなあ。

こっちは好きって言ってるのに苦手とか。

傷ついちゃうぞ!


小林とかに言えば顔赤くして「なっ何言っとお!」って言ってくるのに。

あれは面白いよね。面白いってより、可愛い。




「じゃあ頑張れ」

「…中山」

「ん?」

「……お前、分かってるのか?」

「何を?」

「……なんでもない」




そう言うと鬼は立ち上がった。

もう行くの、と聞けば無言だからきっと自主練なんだと思う。

鬼はあまり人に練習しているところを見られたくないのか、コートではあまり見かけない。

自主練に行くときは必ず無言でスタスタ行くし、これもプライドってやつかな。よく分からない。






男のプライド

(鬼も徳川も言いたいことが謎)

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