─────

□新、お師匠様っ
1ページ/1ページ







試合後、選手専用控え室にて、待機用のベンチで肩を落とすローズは、膝に肘をつけ頭を抱えていた



今の気分は非常に最悪。無数の手が足にまとわりついてきて、そのまま奈落の底へと引きずり込まれていくような、そんな感じ



“──負けたくらいで”はたからみたら大袈裟な奴かも知れない。だけどそれは、ローズの中の辞書には敗北なんて文字がないからで……



ローズは、はぁ、と重いため息を吐いた。敗北=死だ。これじゃあ復讐なんてできっこない













『……そうだ』



ローズは、あることを思い付いて、顔を上げる



バンっ



乱暴に開かれた控え室の扉。そこから弾丸のように、ローズは飛び出した












『……あ、居た』



やっぱりね、ここに居ると思ったんだ



ローズの目線の先には、先程戦ったキルア



彼は、換金所の前に居た



ローズは、ゆっくりとキルアに近づく



『あの、キルア……くん』



「あぁー、さっきの。何、なんか用?」



『僕を……僕をきみの弟子にして欲しいんだ……!』



「はぁっ!?」



ローズの突然の申し出に、キルアは目を見開く



『その……だ……め、かな?』



「うん……ワリっ!オレそーゆーの無理っ!」



ガーン



ローズは、あっさり断られてしまった



いいじゃんか、ケチ



なんて思ってたら、キルアの隣にいた、黒髪ツンツンヘアーの少年が口を開いた



「えー、いいじゃんキルアーっ!キルアのお弟子さんになりたいんだってさ♪」



『君は、確か……押し出しのゴンくんじゃないか』



ナイスだゴンくん。僕をもっと推し出しておくれ



『キルアくん、お願いだよっ』



「ねぇ、キールーアー!」



『キールーアーくーん!』



「キールーアー!」



『キールーアーくーん!』



「キールーアー!」





THE無限ループ





「あーーっ、もう耳元でうるせーっつの!わかったよ、わかった!弟子にすればいいんだろ?」



『……え、本当に?僕を弟子にしてくれるの?』



「はぁ……いっとくけど、オレそーゆーのてんでダメだかんな。あんま期待すんなよ?」



『ありがとう、キルア師匠!』



──やった!



これで僕は、さらに強くなれるかもしれない














『あ、えっと……それで、自己紹介っ!僕は──』



「知ってるよ!“アッパーのローズ”でしょ?」



ゴンくんがニカッと笑った



『あ、うん……。そう、僕ローズ……アッパーのローズ』



なにぃー!



僕ってば



『アッパーのローズって呼ばれてたのか。知らなかった……』



こうして



“手刀のキルア”



“押し出しのゴン”



“アッパーのローズ”という



天空闘技場、黄金トリオが誕生したのであった






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ