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□新、お師匠様っ
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試合後、選手専用控え室にて、待機用のベンチで肩を落とすローズは、膝に肘をつけ頭を抱えていた
今の気分は非常に最悪。無数の手が足にまとわりついてきて、そのまま奈落の底へと引きずり込まれていくような、そんな感じ
“──負けたくらいで”はたからみたら大袈裟な奴かも知れない。だけどそれは、ローズの中の辞書には敗北なんて文字がないからで……
ローズは、はぁ、と重いため息を吐いた。敗北=死だ。これじゃあ復讐なんてできっこない
『……そうだ』
ローズは、あることを思い付いて、顔を上げる
バンっ
乱暴に開かれた控え室の扉。そこから弾丸のように、ローズは飛び出した
『……あ、居た』
やっぱりね、ここに居ると思ったんだ
ローズの目線の先には、先程戦ったキルア
彼は、換金所の前に居た
ローズは、ゆっくりとキルアに近づく
『あの、キルア……くん』
「あぁー、さっきの。何、なんか用?」
『僕を……僕をきみの弟子にして欲しいんだ……!』
「はぁっ!?」
ローズの突然の申し出に、キルアは目を見開く
『その……だ……め、かな?』
「うん……ワリっ!オレそーゆーの無理っ!」
ガーン
ローズは、あっさり断られてしまった
いいじゃんか、ケチ
なんて思ってたら、キルアの隣にいた、黒髪ツンツンヘアーの少年が口を開いた
「えー、いいじゃんキルアーっ!キルアのお弟子さんになりたいんだってさ♪」
『君は、確か……押し出しのゴンくんじゃないか』
ナイスだゴンくん。僕をもっと推し出しておくれ
『キルアくん、お願いだよっ』
「ねぇ、キールーアー!」
『キールーアーくーん!』
「キールーアー!」
『キールーアーくーん!』
「キールーアー!」
THE無限ループ
「あーーっ、もう耳元でうるせーっつの!わかったよ、わかった!弟子にすればいいんだろ?」
『……え、本当に?僕を弟子にしてくれるの?』
「はぁ……いっとくけど、オレそーゆーのてんでダメだかんな。あんま期待すんなよ?」
『ありがとう、キルア師匠!』
──やった!
これで僕は、さらに強くなれるかもしれない
『あ、えっと……それで、自己紹介っ!僕は──』
「知ってるよ!“アッパーのローズ”でしょ?」
ゴンくんがニカッと笑った
『あ、うん……。そう、僕ローズ……アッパーのローズ』
なにぃー!
僕ってば
『アッパーのローズって呼ばれてたのか。知らなかった……』
こうして
“手刀のキルア”
“押し出しのゴン”
“アッパーのローズ”という
天空闘技場、黄金トリオが誕生したのであった
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