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□復讐のために…
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シュッ──
『!』
目の前にいた筈のキルアが消えた。と思ったら
ズンッ
『ぐはぁ……っ!』
首に、トラックが突っ込んできたみたいな衝撃が走る
それは、キルアから受ける、二回目の手刀だった
『う……そ、だろ……』
ぼやける視界
ゆっくりと身体が傾いていって、全ての光景がスローモーションに見える
な……んだよ、これ
頭が、身体が……
う……、ごかな…………─────
バタンッ
「ローズ選手ダウーーン!キルア選手の勝ちィーーー!!」
うねりをあげる会場内は、あり得ない程の騒音に包まれた
そんな渦の中にいるのに、ローズの耳には微塵も入ってこない
ローズの頭の中では、審判のジャッジだけが、こだましていた
『く、そ……』
キルアに負けた
手も足もでなかった
未だに動けないで、地面にへばりつく自分が情けない
そして極めつけに
「いっただろ?女だからって容赦しないって」
リングを去っていくキルアに、振り向き様にそう言われた
『……っ』
僕は、とてつもなく悔しかった
僕は──……、こんなところで負けていられないのに
強く、強く、強くならなくちゃいけないのに
ローズは、ギリッと唇を噛み締めた
そこから、ポタっと赤い雫が流れ落ちる
震える拳、血走る瞳……
ローズはこの日から、誰よりも、何よりも“強くなる”ということに執着していった─────
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