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□思い出は、儚い
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ローズは、自室で荷物をまとめていた



荷物をまとめるっていったって、ローズの部屋にはたいして物がない



それに、出ていくからって……この部屋にあるものを全部持っていくことなんてできない



だから、必要最低限のものだけ、大きめのカバンにつめた



『ふぅー。これでよし、と!』



ローズの荷物まとめは、ものの30分で終わってしまった



それにしても───……



≪ローズ、お前を一人の女として愛してしまった≫



師匠のあの言葉が頭から離れなくて、僕の胸がずっとドキドキしてるんだ



ローズはベッドに寝そべり、枕を抱き抱え、物思いにふけった。



師匠───……



もとい、ガルドさんは、ソードハンターをやっていた僕の父の後輩だ



ソードハンターとは、世界中の貴重な剣を集め、保護保管したりなど、ちょっと目立たないマイナーな仕事



そんな中で、様々な功績を残した僕の父に、ガルドさんは憧れていたみたいなんだ



2人は仲がよくてさ



父はガルドさんを実弟みたいに可愛がってたし、ガルドさんは父を実兄のように慕ってた。



そういえばガルドさんは、よく家に遊びにきたりもしてたっけなぁ



ガルドさんが家に遊びにきた日は、必ず僕と木登りしてくれたりして、色々と遊んでくれた













それから───……



僕の家族が死んだ時



ガルドさんは、身寄りのない僕を引き取ってくれた。



復讐を誓った僕に、武術や剣術などを教えてくれたりもした



ガルドさんは師匠であり、ちょっと年の離れた兄のような存在。



だったのになぁ……



まさか、そんな彼に



そういう感情を抱かれてるなんて思ったら、どこかむず痒いような気持ちになってしまった



出発は明日



その夜、ローズはなかなか寝付くことができなかった






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