Vanilla
□それは、心憂し事柄
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「オレさぁ――……毒、痺れ薬、眠り薬とか効かないんだよね。もちろん媚薬も」
『な……なんの話?』
「訓練してるから」
唐突に淡々とした口調で話す301番は、ズイッと前のめりにバニラに顔を近づけた
ビクッ
『!?』
互いの鼻がぶつかりそうなくらいの距離に、バニラは無意識に後退りする
「……なのにさぁ、さっきからそのニオイ。本当に不愉快」
どうやら、バニラの特殊な香りが301番をおかしくさせた原因らしい
『あははは……そう言われましても……』
どうしよう、困った……!
ジリジリとバニラに詰め寄ってくる301番
―――コツン
『っあ……』
とうとうバニラの背中が壁にくっついた
どうしよう逃げ場がない
嫌な汗が、バニラの額を伝う
「オレ、今すごく……変な気分なんだけど。もちろん、責任とってくれるよね?」
『……んっ!』
強引に301番の唇がバニラの唇に触れた
息もできないくらいに激しいキスがバニラを襲う
『──っ』
イヤだ……気持ち悪い
苦しい。苦しすぎる……
でもそれは息が出来ないから……じゃない
多分そう
キスの相手が
ヒソカじゃないから───……
『イヤだ……ってば!』
ドンッ!
バニラは渾身の力を込めて301番を突き飛ばした
『……っ、私に近づかないで!』
大声をあげ威嚇するバニラ
「だったらさ、そのニオイどうにかしなよ」
しかし301番は、そんなバニラに怯むことなく手を伸ばす
『イヤっ……!』
バニラは301番の手を全身を使って払いのけようとした
するとズキッと右足に負荷がかかり、痛みで身体が大きく仰け反った
その拍子に、なんとバニラは背後の壁に自身の後頭部を強打してしまう
ゴンッ!
鈍い音が部屋中に響いた
『んにゃっ……!?』
はらほろひれはれ―――…
バタンッ
バニラは床に倒れてしまった
「……あ。ニオイなくなった」
バニラが気絶すると、301番を刺激していた香りが消えたようだ
「それにしても──……本当に不愉快なやつ」
301番は倒れたバニラの髪の毛にソッと触れると、指で巻き取りクルクルと弄ぶ
そして301番は、自身の下半身の違和感に気づいた
「最悪……ベッドインしたみたいな気分。しかも相手はヒソカの女だしさ」
『……ん、ヒソカ──……?』
寝言なのか?ヒソカという言葉にバニラが反応した
しかも、なんだか幸せそうな顔してます
そんなバニラをみて、なぜか301番はムッとした
ムギュー…!
バニラの頬を思いきりつねる301番
「……なんかこの顔ムカツク」
それは、心憂し事柄
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