Vanilla
□それは、不確かな恋
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受験生一同はトリックタワーと呼ばれる塔のてっぺんにいた
凄まじい風が吹き荒れている。そこは、あまりにも殺風景でお粗末な場所だった
ここが三次試験のスタート地点だというのだ。
「さて試験の内容ですが……」
試験官代理の者が現れ、試験内容をさっさと言うと、三次試験が始まった
三次試験の内容は“生きて下まで降りてくること。制限時間72時間”とのことだった
といってもタワーのてっぺんには何もなかった。側面には窓もない
下まで降りる……?
あらゆる所で疑問の声があがっていた
「うーん……困ったなぁ★」
『ね、どうしたらいいんだろう』
「どうやら、この扉……1人に1人ずつみたいなんだ◆」
ヒソカはニッコリと笑って、地面を指差す
『え?……なんの話?』
頂上から脱出するには、どうやら隠し扉を使うようだ
探せばタワーのてっぺんには、あらゆる所に隠し扉があった
『あ……私、この扉にする』
「じゃあ、ボクはこっち★」
バニラとヒソカはそれぞれ、自分が進むべき扉を選んだ
「バニラ、暫くお別れだ◆」
『うん……』
ヒソカと離れなくちゃいけない
なんだろう、凄く不安で寂しい気持ちがする
『ねぇ、ヒソカっ』
気がついたら、バニラはヒソカの名前を呼んでた
『えっと、あの……その……』
呼び止めたは良いけど、何て言えばいいのやら
バニラは、うつ向いてモジモジする
そんなバニラの心中を察してか、ヒソカは突然、バニラを抱き寄せた
グイッ──
『!?』
「バニラ、キミ……ボクと離れるのがイヤだって顔してる◆」
『そ、そんなことな……っ』
「ククッ……バニラ★ボクだってキミと離れたくない◆」
瞬間、絶え間なく雨のようにヒソカからキスが降り注がれた
『んっ……』
それは、どんどん深いものに変わる
バニラはキスから逃れようと身体を反らすが、ヒソカの大きな手が腰に回され、グッと力を込められているので逃げるに逃げれない
『や……だ、みんな見て……るよ』
※皆さん口をあんぐりさせて見てます
「クククッ……キミがボクのものだって……見せつけてるのさ◆」
そう妖しく微笑すると、ヒソカはバニラの耳たぶを甘噛みした
カリッ
『あっ……』
すると、バニラから濃度の濃い甘い香りがフワリと放出する
「おっと★楽しみは後に取っておこうか◆」
ヒソカは自身の唇をペロリと舐め上げると、バニラの腰に回していた手をスルリと放した
バニラはヒソカの支えがなくなると、ヘターっと力なくその場に膝をつく
『……っ』
──どうしよう
胸がドキドキして、苦しくて今にも爆発しそう
でもどこか切なくて
やだ、あたし……
なんでこんな──……
バニラはヒソカの後ろ姿を見つめながら、自分の気持ちの変化に気づいたのだった
それは、不確かな恋
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