Vanilla
□開けちゃった
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部屋に入るなり、バニラは衣服を脱ぎ捨てバスルームに駆け込んだ
───ザーッ……
シャワーヘッドから、ぬるま湯が勢いよく噴出する
久々の一人の時間。大好きなシャワー。束の間の休息
『ふぅー……』
気がついたらいつもより、長くシャワーを浴びていた
バニラは備え付けのバスローブに着替えると、ベッドに横たわる
『はぁ……疲れたー』
横になれば、一気に疲労感が全身を支配した。ドッと体が重たくなる。バニラはゆっくりと瞳を閉じた
コンコン
寝かけていたバニラはハッとして目を開けた
コンコン
誰かがドアをノックしている
無視しようかと思ったが、ドアの向こうにいる人物はなかなかしつこいらしい
止まないノック音
バニラは、不機嫌にドアの前に立った
『うるさい、そしてしつこい』
「ククク……★」
ドア越しに聞こえる、ヒソカの声
あぁ、やっぱりヒソカか
バニラは面倒くさそうに続けた
『何か用?』
「……」
『……ねぇ』
「……」
ヒソカの反応がない
でも、なんとなく感じる気配で、そこにヒソカが居るのはわかる
『んもぉ……っ!』
痺れを切らしたバニラは、たまらずドアを開けた
「クククッ……◆」
目の前には、ヒソカが立っていた
『なに?』
「何って……夜這いにきたのさ◆」
『あ、そう。……お断りっ!』
バタンッ
バニラは容赦なくドアを閉めた
「うーん、ツレないなぁ……★」
『くだらないこと言ってないで、部屋に戻って寝なよ』
バニラの、機嫌の悪さMAX
「あぁ……それなら、ボクの部屋はこ・こ★」
『?』
「ボクたち恋人同士だろ?それにボク、ルームキーは受け取らなかったんだ◆」
『……なんでよ』
「キミとの同室を希望したいから★」
『……』
「このままだとボク、廊下で一晩を過ごさなくちゃいけなくなる◆」
……うそつけ。と、思った
だけどこの時、自分がなぜそうしたかはわからない
可哀想だったから?
どうかしてた───……
ガチャッ
「や★バニラ……こんばんは◆」
開けちゃった
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