Vanilla
□見とれちゃった
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地下道を走り抜けると、その先は湿原だった
次の試験会場はまだ先のよう
『うそ、まだ走るの?正直つまらない』
「そう?ボクはけっこう楽しんでるけどね◆」
『へぇ、それは意外……』
「ボクが楽しんでるのは、もちろんバニラとのデートだよ★」
『あぁ、そう……デートね。それ、私も楽しもうかな』
「ククッ……そうするといい◆せっかく外に出れたんだ、景色を楽しもうじゃないか★」
『景色……を、ね』
バニラの顔が、ひきつった
この湿原には楽しめる要素なんてものが1つもないからだ
明らかに危険な香りが漂うその地は、受験生にとって不安でしかないというのに
「行きますよ」試験官が言った
皆……さらに奥へと進む