Vanilla
□始まっちゃった
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「お嬢ちゃん」
『なんですか?』
「さっきから甘い臭いが、お嬢ちゃんからするんだよなー」
『それで?』
「どこからイ〜イ臭〜いがするのかな〜?」
『あの、やめてください……』
「グヘへ、柔らかいお尻だな」
『ちょ、いやですっ……!』
気持ちの悪い男が、バニラの尻をいやらしく撫で回した
バニラは男の手を払い除ける
「いいだろ?へるもんじゃねぇ〜」
『そういった問題じゃないと思いますけど!』
バニラは、少し大きな声を出した
「ククッ…次から次へと、キミも大変だね◆」
するとスーッとヒソカが現れた
彼はトランプを一枚手に取り、それをペロッと舐めあげる
「ゲゲ!ヒソカ……!」
ヒソカの顔をみるなり男は血相変えて逃げていく
バニラはまた、ヒソカに助けられた
『……ありがとう』
「いえいえ★ボクね、今ちょっと退屈してるんだ◆」
『へぇ、それは私も同じ』
走るだけ、なんて飽きてきた
バニラとヒソカは走るペースを落とさず悠々と会話する
「バニラ、ボクの退屈の理由はそういう意味じゃない◆」
『どういうこと?』
「バニラ、ボクと付き合わない?」
『なに……今度こそナンパなわけ?』
「うん★それに、ボクといれば誰もキミに言い寄ってこないはずだ◆」
ヒソカの言葉に、バニラが周りを見ると、受験生達は、ヒソカとだいぶ距離をとって走っていた
『……なるほどね』
「ちなみにコレはゲーム★」
『ゲーム?』
「そう、恋人ごっこ◆ハンター試験が終わるまでの間の絵空事さ★」
『ふーん』
いい加減、痴漢に絡まれるのにうんざりしてきていたバニラにとっては、なかなか悪くない話だ
『別にいいけど、どこまでが恋人ごっこ?変なことはしないでよ』
「セックスはなし?ってことかい」
『もちろん』
「ククッ……OK◆今からボクとキミは恋人だ★」
交渉成立
ヒソカはバニラの手を取り握った
ハンター試験中に、カップルができるなんてのは異例中の異例
でもそれは期間限定の“恋人ごっこ”
始まっちゃった
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