薄桜鬼〜トリップ夢〜
□本心
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平】食えそう?まだ気持ちわるいか?
輝】大丈夫、です…。いただきます…。
藤堂さんがよそってくれたお粥を私の手にしっかりと持たせてくれて、さじを受け取った。
原田さんは白湯を持ってくると言って、部屋を再び出て行った。
私は食べようとしたんだけど…。
輝】…力、入らね…っ。
平】…食べさせてやるよ。
輝】!?そんなっ、組長にそんなことさせるわけには…!!
平】あーはいはい、いいから。ほら、粥とさじよこせよー。
まるで話を聞かず、私からお粥とさじを奪って、少しすくってふーふーと軽く冷ましてから口元へ持ってくる。
平】ほら、あーん。
輝】っ…////
平】はやく。冷めるだろ?
すっげぇ、恥ずかしいんですけどぉ…。
でも、食べないわけにはいかないので、大人しく口を開けて食べる。
輝】ん…おいし…。
私がそう言って、微笑むと藤堂さんはだろっ?とにっこり笑った。
そのあとも藤堂さんに食べさせてもらって、いつの間にか戻っていた原田さんはなんだか微笑ましい光景をみるように見守っていてくれた。
輝】平、助さん…もう、無理です…。
平】ん、そうか。まぁ、半分食えりゃ上等だろ、ねぇ、左之さん?
左】そうだな。ほら輝叉、白湯だ。もてるか?
輝】ありがとうございます。大丈夫です。
原田さんは優しく微笑んで、私の両手に湯のみを持たせてくれる。
あぁー、なんか2人とも家族みたいに…優しいなぁ…。
平】なっ!?輝叉!?
輝】え?
左】どうした?また具合でも悪くなったか?
2人して焦りだしたので、訳も分からず首をかしげると。
平】泣いてるんだよ、お前。
輝】う、そ…。
藤堂さんが、私の涙を親指でぬぐってくれるが、それでも止まらない。
左】どうした?お前がよけりゃ、話してくれねぇか?
輝】っなんでもっ、ないんですっ…。すいませんっ…俺っ…っふぇ、ぇ…。
平】謝んなくていいからさ?話してみろよ、楽になるぜ?
輝】っ皆さん…優し、からっ…。
左】うん。
輝】今だって、俺なんかためにっ…わざわざお粥まで用意して下さってっ…。こんな俺にっ…。
平】とりあえずさ、なんか、とかこんな、とか自分を卑下すんなよ、な?
輝】だってっ…俺はっ、偶然この世界にやってきてっ…余所者なのにっ…2人ともっ、家族みたいでっ…。
平・左】!
あぁ、だめだ。言ってることごちゃごちゃだ。
そんなことを思っても、私の口は止められなかった。
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