短編
□目を覚まさぬ少女
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真っ白な空間。
ガラス越しにしか見れない隔離された空間。
たくさんの機械に繋がれて、彼女はその中にいた。
触れるだけで壊れてしまいそうに儚い彼女は、俺の手には届かない。
多分、俺が生まれるよりももっと前から
彼女はここで1人
目を覚まさない。
伏せられた瞳、長いまつ毛。
その真っ白な肌は陶器のようで。
―生まれてから一度も聞いたことのない彼女の声が聞きたい
―生まれてから一度も見たことのない彼女の瞳の色が知りたい
一体あの白い肌に映える瞳の色はどんななのだろう。
海のように深い藍色
アクアマリンのようなすんだ水色
それとも
俺と同じ、深い緑―…?