短編
□瞳の色
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『あ、の…朽木、隊長…』
突然聞こえた小さな声。
たいして驚きもせず、書類から視線すら上げずに『何だ』
とだけ答える。
『これ…あと印鑑だけの書類です。』
少し怯えた様な声。
彼女の名前は雪宮鈴。
六番隊の第四席だ。
華奢で小柄な身体、栗色の少しカールした肩より少し長い柔らかい髪の毛。
白い肌に長いまつ毛、桜色のふっくらとした唇。
そんな彼女は隊士にも人気があった。
ただ1つだけ―…彼女は酷く人見知りなのだ。
もう何年も共に働いている白哉に対してもこの有り様である。
『…そこに置いておけ。』
彼女とは視線を合わせることなくそう言った。
一瞬鈴の手が視界に入った。
『失礼しました…』
直後、再び小さな声がして部屋から鈴の気配が消えた。
白哉は小さくため息をつき顔を上げると書類に視線をやった。