刀涙
□うたた寝
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雀がちゅんちゅんと鳴く、昼頃
あぁー…
春も近いなー…
と思いながら縁側に座るのは真庭忍軍十二頭領(略)総補佐官・真庭白蛇
イカン、眠くなってきた…
もう直ぐ来る喰鮫に任務について言わなきゃ…なら…ない…
あ、これ無理だ
白蛇の意識はそこで途絶えた
†††
ギシギシと廊下を軋ませながら歩くのは真庭忍十二頭領が一人、鎖縛の喰鮫
「おや、おかしいですね。あの白蛇が時間になっても来ないなんて。おかしいですねおかしいですねおかしいですね。」
クスクス笑いながら歩く喰鮫
ふと足を止めると、そこには首部(コウベ)を垂らしたまま動かない白蛇の姿
近くに寄ると、すーすーと可愛らしい寝息を立てている
その姿を見てまたクスリと笑う喰鮫
「おやおや、これは珍しい。」
普段、仕事中は欠伸の一つもしないのに
今日はこの小春日和に負けてしまったようだ
「しかしこれは…」
「すー…すー…」
か わ い す ぎ る !!
なんですか、この愛らしい生き物は!!
当初の目的なんぞ忘れて此処で一緒にお昼寝したいですよ!!!
寧ろ眠っている白蛇を襲ってしまいたい!!
嗚呼、いいですねいいですねいいですね。
任務は海亀にでも押しつけて、いっそ本当にお昼寝してしまいましょうか
あぁ、そうしましょう
サラサラと白蛇の特徴である銀髪が風に揺れる
白蛇の隣に腰を下ろすとまるでタイミングを見計らったように白蛇の頭が喰鮫の膝にコテンと落ちる
流石の喰鮫も驚いたのか、軽く固まったが、優しい手つきで白蛇の頭を撫でる
「普段もこんなに大人しかったらいいんですがね…」
煩く、且つ警戒されて近付けないのは原因が自分だと気付いているのかいないのか…。
「まぁ、大人しい白蛇なんて見ていてもつまらないんですがね」
ふぁっと欠伸をすると一度白蛇の寝顔を拝んでから喰鮫もまた深い眠りに落ちていった
了
(まったく、喰鮫の奴…、大好きな殺しをほっぽってサボリとは…っ)
(く、くい、くいくく喰鮫様と白蛇さま、と、とっても気持ちよさそうに、ね、ね、眠っておられますね…っ)