影涙

□冬の隙間
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ビュウビュウと肌に突き刺さる冷気に小さな体を更に縮こませる


「うー…っ寒いぃぃっ」



今日に限ってマフラーを忘れるなんて!!


最悪だぁー…


道路の端っこにある自動販売機を見て、ホットココアを買おうかと思ったがお金がないことに気づいてやめた



うぅー…寒いよぉー…っ



足の小指の感覚がなくなってきた


「寒いぃぃー…「なに百面相してんだよ」ひょっ!?」


ぴとっと頬に何か付けられ思いっきり変な声を出した

この嫌味に満ちた声はー…



「花宮!!な、なにすんのよ!!」


びっくりするじゃない!と抗議の声をあげると花宮はポイッと缶を咲に放り投げた


「うわっ……って何コレ」


「コーヒー買おうとしたら間違えたからやる」


バッと自分よりも30p以上高い身長の花宮を見上げる
そこにはやっぱり嫌みな顔


「マジ?くれんの?」

「ふはっ」


花宮が口元を抑えて笑う


「その顔マジウケる…っ」



馬鹿にしたように笑う花宮に一発腹にかましてやろうかと思ったが、一応ココアを貰ったのでやめておく



「それじゃあな」



いつの間にか歩き出してる花宮

「あ、ココアありがと!!」


歩いていた花宮は、一旦歩くのをやめてくるりと振り返った

「はぁ?その言い方だとまるで俺がお前の為に買ってきたみてぇじゃねぇかよ」


ありえねぇよ


また馬鹿にしたように笑う花宮。しかし、その耳は真っ赤に染め上げられていた


恐らくこのことを奴に言ったら「寒いからに決まってんだろバァカ」と怒られそう




花宮の背中を見送ると、何気なくコートのポケットに手を入れた


「あれ…」


ポケットに何か違和感を感じて中身を取り出す




「あ、手袋…」


ひらりと一枚の紙が落ちた



「レシート…ではないか」


なになに
内容を読み上げる



“明日返せよ”



綺麗な文字で綴られた短い文章


思わず噴き出してしまった





「ついでに100円も返そうかな〜」




まだ暖かいココアを飲み干すと、咲は手袋をはめて歩き出した





「あったかーい」








(さみー…)
(あれ、花宮お前いつもの手袋は?)
(忘れた)
(マジで?めずらしー)
(うるせぇ)



Fin


勢いで書いてしまったwwwww

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