影涙

□反転世界
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「咲!!危ねぇ!!」


花宮の危機迫る声に思わず振り向こうとしたがー…




「え………ッ…ッッッ!!!」


体に凄まじい衝撃を感じたかと思うとその小さく華奢な体は宙を舞った




「咲!!!!」





激しいブレーキ音の中、花宮の声が僅かに聞こえた





ガツンと固いコンクリートに叩きつけられて後から凄まじい激痛が咲を襲った




くっそ…、今軽く意識飛びそうだった…ッ


左手のひらがじっとりと湿った感触があり、咲は
「あぁこっちの手は無事か…」とのん気に考えていた


花宮と運転手とおぼしき人が駆け寄る




「咲しっかりしろ!!」


「いし…気はあるよ…」


なんつー顔してんだ
【悪童】の面影なんて微塵も感じないほど焦燥に満ちた顔

運転手のおじさんはというと救急車を呼びに離れた場所で電話している




「いま、今…きゅうしゅうしゃ呼んでるからな!!」


しっかりしろ!!



あれコイツ今なんて?
きゅうしゅうしゃ?吸収車ってなんだ!?なにを吸収するんだ!?


「ぶふっ!!」


「な!?」


「は、花宮噛んだ……っ」


ゲラゲラ笑う咲、しかし、笑うことによって折れた骨が肺を引っ掻いたらしく口から血を噴き出す


「ちょ、咲ーーー!?」






†††








「なーんてこともあったよね」


「ホントマジお前バカすぎ……」


のほほんと話す咲にうなだれる花宮


結局、爆笑した咲は入院全治2ヶ月と診断された



馬鹿すぎて笑えねー



「心配してくれた真格好良かったなー」


噛んだけど


花宮は照れたように咲の頭を丸めた紙でパコンと叩く


「死んじゃうかと思った?」


「ふはっ、ゴキブリ並にしぶてぇ奴が車に跳ねられたくらいで死ぬなんて思ってねぇよ。バァカ」



「あたしが死んだら真が泣いちゃうから泣かないよ〜」


泣かねーよバァカとまた紙で叩かれる






あんなに泣きそうな顔してたのにね〜…。



「真、真」

「んぁー?」


ちゅっ




ぴしりと固まる花宮
しかし、途端ニヤリとニヒルに笑う


「ムカつくくれー可愛いことしてくれんじゃねぇかよ」




スッと顔を近付ける花宮


「なっ!?」

「目、つぶれ」


ギュッと目をつぶる咲



ピロリン♪


「は?」



目を開けると携帯を構えた花宮


どうやら写メを撮ったようだ


「な、な、な……なぁ!!?」


「咲のキス顔もーらい」






ふざけんなバァカァァァア!!!!!!

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