影涙

□帝光バスケ部日記(2)
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○月△日(火)


日記二日目です
今日は色んな事がありました。

まず
朝、登校して廊下を歩いていると漆原さんが青峰くんの背中に跳び蹴りを決めていた。
朝から元気だなぁ、と二人を眺めていた。漆原さんの蹴りの威力は意外と凄いらしく青峰くんはしばらく魚のようにピクピクして動かなくなった

HRが終わり授業が始まった
数学で正直めんどくさいと思いながら授業を受けていると、隣のクラスから破壊音が聞こえてきた
この声は紫原くんだろう
見知らぬ男子生徒の声と紫原くんの怒声が隣から凄く聞こえてくる。
彼は短気だからなにか言われてブチギレた…ということだろう

ガシャンと扉が吹き飛んだ
あぁ、男子生徒が紫原くんにやられたのか…、と思いながら廊下を見た
その光景は予想と全く真逆の光景だった。

紫原くんが廊下に座り込んでいた。
あれを見たとき取り敢えず目が点になりましたね。


あの紫原くんを殴ったか蹴ったかしたのは相手の男子生徒ー…ではなく

あの漆原さんだったのだ



紫原くんが反撃しようとしたけど、漆原さんの見事な回し蹴りが決まって紫原くんは大人しくなった



やっぱり彼女は敵に回したくないと心の底から思いました。怖いです。


それからしばらく漆原さんが紫原くんを正座させてお説教していた。

それから「流石咲っちっス〜!!」と金髪で長身の男子生徒が漆原さんに抱きつこうとして
メキッとその男子生徒の顔面に漆原さんの裏拳が決まった。

とても痛そうでした。


そんなこんなで授業が終わり、二限三限と終わり、放課後になった


体育館に行くと話し声が聞こえてきた。体育館だから話し声が聞こえてもなんら不思議ではないが、何やら揉めてるようだ。

漆原さんと赤司君だ。


今日はよく漆原さんを見ると思う。


何故もめてるのか聞いてみると、内容は下らないものでした。


【パンとご飯はどっちが美味しいか】



赤司君、確か君は学年トップでしたよね?漆原さん、あなたは三位でしたよね?

なんでそんな下らない事でいがみ合ってるんですか。(因みに漆原さんはパン派で赤司君はご飯派らしいです)


緑間君が言うには、二人は顔を合わせると必ずと言っていいほど喧嘩するらしい。
所謂”犬猿の仲”だとか。
けど、実は意外と仲がいいとも言っていましたね。
喧嘩するほど仲がいい…というやつなんでしょうか。
青峰くんや緑間くん、紫原くんもだから二人の喧嘩を止めないだとか。(見ていて微笑ましいらしい)

結局、言いたい事はお互い言い切ったらしく落ち着いた頃に女子バスケ部のキャプテンが漆原さんを回収していきました。
その時の紫原くんの背中に哀愁が漂っていました。


それからやっと部活が始まり、いつも通りハードでした。
体育館に「テツ寝んな!!」と青峰くんの声が聞こえてなんとか起きた。



部活が終わり、帰り支度をして校門を出ると漆原さんが一人で立っていた。
本当に今日は彼女とよく会う日だと思う。


「どうしたんですか?」と僕が聞くと漆原さんは「敦を待ってるの」と言った

敦とは、紫原くんの下の名前だとこの時初めて知った。



「漆原さん」と呼ぶと「咲でいいよ」
みんなそう呼んでるし。と言われ咲さんと呼ぶことにした
思えばこうして話すのは初めてだった。


それからしばらく漆原さん改め咲さんと話していたが紫原くんが来たのでそこで別れた。



漆原咲、今日は彼女と近付けた日だった

また明日も話したいな





おわり
 

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