お題小説

□花言葉
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それ以来、俺はよくその少女のところへ遊びに行った。
彼女は俺より1つ年下で、父親が近くの会社の社長で、母親がハーフだから彼女はクオーターで。
彼女のことを知れば知るほど、俺はますます彼女に惹かれてった。
これが初恋ってやつなのか。

彼女の母親は、彼女が5歳の時に病気で亡くなったらしい。
それ以来、彼女も病気がちになり、あまり家から出ることができないと言っていた。
俺は外の世界の話を言って聞かせた。
友人との山裏探検や肝試し。
学校の運動会。
プールに遠足。
ここの庭にも、友人と競いあって侵入してたと言うと、彼女は少し怒ってから笑ってた。

彼女の家に通うようになって1週間。
彼女について分かったことがもう1つあった。
花が好きだということだ。
花については人一倍物知りで、おしゃべりになる。彼女の母親からの影響らしい。
だからいつも、庭には綺麗な花が咲いていた気がする。
その花にかこまれて、話をするということがいつの間にか日課となっていた。




そんな日課が、いとも簡単に終わってしまったのは、出会ってから1年が過ぎた頃。
彼女の父親が経営する会社が移転するため、彼女も移転先の街へ引っ越すことになったのだ。
なんてベタな展開。
そしてその展開通り、俺は自分の気持ちを伝えることなんて出来なかった。




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