ストーリー

□見守り人
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いろんな思いを抱えた上京で、地元の仲間たちにもとうぶん会えないだろうと思っていた。

『もしもし?元気か?』

『シンっ!』
『今から出てこれるか?』
『どこに?』
『おまえの最寄り駅。』『ぇ?』


―……―………
故郷をでるときに最後に会ったのもシンだった。そして、上京してすぐシンに再会することになる。
今更だけどシンは私の最寄り駅から3駅ほどにすんでいるらしい。
上京したら1年間くらいは会えないと思っていたから、地元でのドライブはかなり感慨深かったのに…。


『お前、酒強そうな顔してるのにな』
残念だと言いながら烏龍茶のグラスで乾杯した。



お酒を飲んだときにしか本音を言えないシンは、お前のことかってんだよとかいろいろ言ってくれたっけ。
『出会ったときから考えると、お前とこんなふうに酒が飲めるようになるなんてな…まっお前は飲んでねぇけど』

そのまま終電を逃したシンは私の新居へと来た。
なんとなく、一緒のベッドで寝たけれどシンに触れるのが怖かった。
シンは私のことを受け入れてはくれない気がしたから。

『…美嘉…』
耳をくすぶる消え入りそうな声。
『…手だけかして』
そう言って後ろから私を抱きしめると指を絡ませた。

私はシンの暖かさと今までにない距離感に動揺しながらも“シンだから”ってゆう安心感があった。
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