ストーリー

□兄妹事情
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『兄弟事情 2』type-CK


その人の世界観ってその人のお部屋に現れると思う。でもね、もっと身近でそれを感じるのはバッグだと思う。
バッグの中に自分だけの世界を作れる、そんな気がしてしまう。
私のバッグの中は割ときっちりしていて、その日に必要なものだけを入れるので、中を探せば何か出てくるかもなどとゆう宝探し気分は決してない。
他人のバッグの中を見る機会なんてほぼ無いに等しい。
けれど私は好奇心から姉の奏さんのバッグをよく覗く。
彼女は時代の流れにのる『片づけられない女』でバッグの中もぐちゃぁっとしてて整頓されているという感覚は全く持てない。けれど私はなにか宝箱の中を見ているようなそんな気分になるのだ。
誰にも言えないこんなことをこっそりがっくんに話したことがある。
『栄悪趣味だな』
と冗談めいた笑みを浮かべながら髪をなでてきた。
『がっくんのバッグはなにも入っていないイメージだけど…がっくんそもそもバッグ持ち歩かないね』
『財布さえもってりゃいいんだよ』
がっくんは…規格外の人だった。
『ねぇ、がっくん』
なぁに。と可愛く返事される。
『がっくん、眠れない』 ベッドに寝ころんで雑誌を読むがっくんと、床に座ってベッドに頬杖をつく私。
がっくんは『来いよ』とベッドの端による。
素直に従ってベッドに入る。がっくんの大きな冷たい手が規則的に私の頭を撫で始め、私は急に安心してしまう。
目をつむり眠りに備える。
『さかえ、おやすみ』
優しい声が聞こえて頭からがっくんの手が離れていった。
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